日本代表のストロングポイントはバーレーン戦でも明白 終盤のシステム変更が上昇ムードに水を差した (3ページ目)
【イラン戦をどう戦うか】
南野のポジションが不明確になったことで、毎熊は身動きが取れなくなった。日本の先制点は、0-0で迎えた前半31分、毎熊のミドルシュートがポストに当たり跳ね返るところを堂安が詰めたことで生まれた。先述のとおり、上田の3点目にも毎熊は絡んでいる。最後まで彼には活躍の機会を残しておきたかったとは率直な感想だ。
毎熊は急速に進歩を遂げた印象がある。ボールを身体の正面に置きながら運ぶようにドリブルするフォームがなにより今日的で、進行方向を相手に読まれにくい強みがある。
SBが活躍したチームが勝つ、とは筆者が欧州取材を通して得たサッカーの考え方だが、それに照らせば、この日の毎熊はマンオブザマッチにさえ挙げたくなる活躍だった。
もう一枚の右SB、菅原由勢も悪くないし、中山雄太、伊藤洋輝が構える左SBも、長友佑都が不動だった時代から長足の進歩を遂げている。日本のSB陣は、前日、サウジアラビアに延長、PK戦勝ちした韓国との比較でも大きく勝っている。SBとウイングのコンビネーションこそが、日本のストロングポイント、生命線だと見るが、なぜそこを森保監督はもっと追求しようとしないのか。毎熊と南野の関係にはそうした意味でも納得できなかった。
3バックを否定しているわけではない。問題はなぜ自ら引いて5バックとするのか、だ。3-4-3を維持できるはずなのに、5-2-3を決め込む理由がわからない。上昇ムードに水を差す5バックへの変更だった。
続くイラン戦。伊東純也が欠場するならば、右ウイングには久保建英を使いたい。堂安に足りない縦方向への推進力が久保にはある。堂安を使うなら反対に1トップ下のほうがいいのではないか。
ウイングとSBの関係が冴え渡れば、日本の優勝は見えてくる。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3