日本代表、イラク戦の敗因は明確 前線4人のポジションの設定が悪すぎる (3ページ目)
【致命的になる可能性も】
しかしその原因はどこにあったか。谷口自身の問題だったかと言えば、ノーだ。繰り返すが、攻めあぐみだ。バランスの悪い攻撃である。決定的チャンス、惜しいチャンスを外しまくった結果、前半を0-2で折り返したわけではない。
日本の攻めあぐみは、個人の責任によるものではない。監督の責任であるにもかかわらず、森保監督は前戦のベトナム戦では、前半終了とともに細谷を下げ、イラク戦では同じタイミングで谷口を下げた。ダメ出しするような選手のプライドを傷つける屈辱的な交代である。筆者には細谷、谷口が不憫に思えて仕方がない。
初戦、2戦目で白日のもとにさらされたのは、森保監督の攻撃的センスのなさだ。かねてから囁かれていた欠点が、いま再び表面化した恰好だ。駒をきれいに並べ、秩序だった効率的な攻め方をすることができない。それが守備に悪影響を与えているにもかかわらず、原因をキャプテン格のCBに求めるかのような交代をする。
その結果、第3戦の対インドネシア戦はまさに絶対に負けられない戦いになった。4-2-3-1の後ろ6人(4-2)は、菅原、板倉、冨安、伊藤、遠藤、守田の、いわゆるベストメンバーを送らざるを得ない状況だ。7戦目までやりくりしにくくなった。この采配では、W杯で5試合以上(ベスト8以上)は戦えない。
前の4人の並べ方にも目を凝らしたい。日本の弱点はハッキリしている。攻撃的センスに欠ける森保采配が、致命的な問題に発展していく可能性が出てきた。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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