日本代表、イラク戦の敗因は明確 前線4人のポジションの設定が悪すぎる (2ページ目)
【谷口彰悟の問題ではない】
南野の左ウイング起用も拍車をかけた。この選手にウインガー、サイドアタッカーとしての適性はない。ポジションをカバーする概念を持ち合わせていないことは、そのポジションニングを見れば一目瞭然だ。重なるのは香川真司で、彼を左ウイングに据えて負けたブラジルW杯初戦のコートジボワール戦が蘇る。
中央も機能しなければ、左サイドも機能しなかった。サイドにいい感じでボールが集まれば中央が空く。中央にいい感じでボールが集まれば両サイドが空く。このバランス感覚がアジアカップを戦う森保ジャパンにはまるで欠けている。
ボーフム(浅野)、レアル・ソシエダ(久保)、スタッド・ランス(伊東)、モナコ(南野)。それぞれの所属チームはドイツ、スペイン、フランスの1部リーグに所属するチームだ。レアル・ソシエダ、さらには上田綺世が所属するフェイエノールトは今季、チャンピオンズリーグにも出場した。それぞれ出場機会に差はあるが、彼らは欧州の上位リーグで活躍している選手として括られる。駒そのものに特段、大きな問題があるわけではない。原因は選手にあらず。バランスの悪いポジション設定をしたのは監督であって、選手個人ではない。
ボール支配率が低いカウンターサッカー、強者に臨む弱者の立ち位置なら話は別だ。浅野の1トップでも展開次第では問題ない場合もある。露呈しやすいのは支配率が高い場合だ。マイボールの時間が長くなれば、攻め方、ボールの奪われ方が問われることになる。ちゃんとした攻めとちゃんとした守りは表裏一体の関係にある。恐いのは「攻めあぐみ」だ。
イラク戦もベトナム戦に続き、しっかりこの症状に陥った。前戦の反省、検証ができていない証拠である。
後半、森保監督は谷口に代え冨安健洋を投入した。センターバック(CB)同士を前半で代える交代は稀である。谷口は相手のCFに少々、手こずっていたかもしれない。10点満点(6点平均)で採点をすれば5.7~5.8ぐらいだろう。
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