谷口彰悟がカタール2年目で思い返すフロンターレ時代「嘉人さんと悠さんにはだいぶ鍛えられた」 (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

 嘉人さんにはどこからでもシュートを狙ってくる大胆さ、悠さんなら自分の背後に走り込む動き出しの速さが特徴としてあるように、ふたりとも特徴があり、そして駆け引きが抜群にうまいストライカーだった。

 日本人ならば日本人の特徴があるように、外国人選手ならば(レアンドロ・)ダミアンには高さや強さ、マルシーニョにはスピードといった武器があった。アル・ラーヤンSCに加入してロドリゴやロジャー・ゲデスといったFWとやり合っていると、ダミアンやマルシーニョと練習でマッチアップしていた日常を思い出す。

 カタール・スターズリーグには、各チームに必ずといって言いほど、屈強かつ得点力のあるFWがいる。

 アル・ドゥハイルには、Jリーグで得点王になった経験のある、あのマイケル・オルンガがいる(ちなみに今季の対戦でも彼に2点を奪われて悔しい思いをした)。アル・ガラファにはコートジボワールのヨアン・ボリやアルジェリアのヤシン・ブラヒミと、個の能力に長けたストライカーがいて、試合では彼らとマッチアップすることになる。

 昨季途中からカタールでプレーするようになった時には、フィジカルが強いFWに背中と腕で押さえ込まれ、身動きが取れなくなり、危うく体を入れ替わられそうになる場面が多々あった。そうした経験を踏まえて、今では無理にボールを奪いにいかない、もしくはそういう状況を作られないように、相手FWに背負われる前に決着をつけるような守備を意識したり、試したりするなどして、プレーの幅も出てきている。

 そうした経験は、日本代表で対戦したドイツやトルコといったチームのFWにも有効だっただけに、海外でプレーすることで自分も少しずつ成長、進化していることを実感する。

 昨季は残留争いを強いられたアル・ラーヤンSCだったが、新監督と新戦力が加わり、チームは間違いなく、いい方向に変化している。近年はアルサッド、アルドゥハイルの二強に押されているが、アル・ラーヤンSCもリーグ優勝8回を誇る古豪と呼ばれるチーム。自分もチームの勝利に貢献し、今季は上位争いに食らいつき、優勝を争うような戦いを目指していきたい。

◆第12回につづく>>


【profile】
谷口彰悟(たにぐち・しょうご)
1991年7月15日生まれ、熊本県熊本市出身。大津高→筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに正式入団。高い守備能力でスタメンを奪取し、4度のリーグ優勝に貢献する。Jリーグベストイレブンにも4度選出。2015年6月のイラク戦で日本代表デビュー。カタールW杯スペイン戦では日本代表選手・最年長31歳139日でW杯初出場を果たす。2022年末、カタールのアル・ラーヤンSCに完全移籍。ポジション=DF。身長183cm、体重75kg。

プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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