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日本代表メンバー発表で見えた課題 構造的に不足しているふたつのポジションとは (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【アジアカップをどう位置づけるか】

 アジアカップは、各大陸選手権のなかでも、上位と下位との間に最も開きある大会だ。日本のレベルアップに貢献しそうな試合は限られている。今回メンバー発表があったタイ戦も1点差の勝利ならば負けに等しい、2ランクほど差がある相手だ。欧州組がふだん、国内リーグや欧州カップ戦で対戦している相手のほうがレベルは断然高い。こうした現実と日本はどう折り合いをつけていくか。岐路に立たされているといっても言い過ぎではない。

 ここは底上げの機会と捉えるべきだろう。タイ戦と同等のメンバーでアジアカップを戦ったほうが、2024年6月から逆算すれば有効だとは筆者の意見である。

1月1日のタイ代表戦のメンバーを発表する日本代表の森保一監督 photo by Fujita Masato1月1日のタイ代表戦のメンバーを発表する日本代表の森保一監督 photo by Fujita Masato 今回、新たに加わった選手、復帰した選手は野澤、伊藤涼(初代表)、板倉、森下、藤井、奥抜、川村、中村だ。

 板倉、藤井はセンターバックで森下はサイドバック。奥抜、中村は左ウイングで、川村はセンターハーフ系だ。

 従来の日本代表を眺めたとき、必ずしも不足している箇所ではない。日本代表最大の問題は1トップと、最適解が鎌田しか見当たらない1トップ下だろう。

 まず1トップ。今回のメンバーでは上田、細谷、浅野の3人がその候補になる。古橋が不在となると、先のミャンマー戦、シリア戦で計5得点と気を吐いた上田が有力な先発候補になる。

 だが、所属のフェイエノールトでは出番に恵まれていない。出場時間はオランダリーグ207分、チャンピオンズリーグ125分の計332分間だ。計19試合消化して得点わずか1。スタメンを張るサンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表、計19ゴール)に大きな差をつけられている。日本代表のスタメン候補としては頼りない成績だ。確かに浮力のあるジャンプは魅力だが、ポストプレーヤーと言うわけではない。ボールを収める力はない。パスワークに絡むと言うより裏を狙うタイプだ。

 今季のJリーグで目をひく活躍をした細谷しかり。上背がなく、上田のような高さのあるヘディングもないので、1トップ下には必然的に鎌田的なポストプレーヤータイプが必要になる。将来的には浅野のように兼ウイングとしてプレーしたほうが大成するのではないかとは、筆者の見立てだ。

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