上田綺世が日本代表で覚醒か その能力はすべてにおいて「対アジア」に適している (3ページ目)
【森保監督のファーストチョイスとなれるか?】
上田にようやく初ゴールが生まれたのは、今年6月のエルサルバドル戦。9月のドイツ戦でも結果を出したものの、ここまで17試合に出場して2得点という数字は、ストライカーとしては物足りないものだろう。
多士済々の2列目と比べ、日本の1トップにはまだ「絶対的な軸」は存在しない。もちろん、相手の実力を考えれば、このハットトリックで上田が頭ひとつ抜け出したとは言えないものの、覚醒の気配が感じられたのも事実である。
対アジアということも考えても、この日のパフォーマンスは指揮官に好印象を与えたに違いない。
ドイツに快勝を収めたのをはじめ、連勝街道を突き進む今の日本の戦い方は確立されつつある。全体をコンパクトにして高い位置でボールを奪い取り、ショートカウンターでゴールに迫るやり方だ。そのスタイルであれば、1トップには浅野拓磨、古橋亨梧、前田大然と、スピードを武器とするタイプのほうが適しているのかもしれない。
しかしミャンマーがそうであったように、アジア予選、あるいはアジアカップではボールを持つ時間が増えることが想像される。スペースがないなかでストライカーに求められるのは、高さや強さ、そして駆け引きといった要素となる。上田はこのミャンマー戦で、そのすべての力を有していることを証明して見せた。
引いた相手をどう崩すか──。
アジアの戦いでは、そのテーマに一発回答を出した上田の存在感が高まることになりそうだ。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
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