検索

日本代表は攻め続けても課題をクリアできず サイド攻撃が機能しない理由は? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【旧態依然としたSBのスタイル】

 堂安には左ウイングをこなす多機能性はないので、「23人枠」からはみ出す可能性も出てきた。森保ジャパンに何年も前から選ばれている割にフィットしていない選手と言える。

 両SBが活躍できなかったことも問題だ。これはポジショニングが占める割合が多いので、選手の責任というよりベンチの責任になる。SBをどう活かすか。いいサッカーをしようとした時、肝となるポイントの追求が甘いのだ。

 繰り返すが、右SB(毎熊)が単騎で、大外の低い位置に張り出すように構える姿はあまりにも古い。旧態依然としたスタイルと言われても仕方がない。ミャンマー相手に大外からプラスのクロスボールをドカンと放り込んではいけない。チームとしてSBを生かそうとする姿勢に欠けることが、そうした毎熊のプレーに端的に表れていたと言いたくなる。

 内と外とをつなぐ、インサイドハーフ(南野拓実、鎌田大地)のバランス感覚もいまひとつだった。ボールが真ん中に集まるサッカーは危ない。現在のマンチェスター・シティとバルセロナの違いと言ったら伝わるだろうか。

 森保監督は試合後「引いた相手からどのように点を奪っていくか、イメージは共有できていた」と語った。だが、それが具体的にどんなものだったのかは、わからずじまい。会見で出た言葉のなかでは「きれいに回すだけではないチャレンジングなパスの仕掛けを得点につなげていく」という抽象的な言葉ぐらいしか、該当するものを拾えなかった。

 選手たちは監督、コーチからどんなアドバイスを受けて、試合に臨んだのか。どんな指示を受ければ、ミャンマー戦のような戦い方になるのか。森保監督はやはり攻撃面において具体的な策を持ち合わせていないのではないかと、怪しみたくなる一戦だった。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る