日本代表のトルコ戦の勝因は高い競争意識 前線4人のベストな組み合わせは? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【光った国内組のプレー】

 伊藤敦樹は今回招集された4人の国内組のうちの1人である。"次回"が確約されていない1人でもある。爪痕を残したい、との高いモチベーションがこの代表初ゴールにつながったと考えるのが自然である。

 その後は、日本選手の負けじ魂というか、高い競争意識が、コンビネーションの不安を上回る展開になった。

中村敬斗の2ゴールなどでトルコを4-2と破った日本代表中村敬斗の2ゴールなどでトルコを4-2と破った日本代表この記事に関連する写真を見る 2点目、3点目を蹴り込んだのは左ウイングとして代表初スタメンを飾った中村敬斗だった。28分の2点目は、久保建英のシュートを相手GKが弾いたこぼれ球を詰めたゴール。36分の3点目は右SB、初代表で初スタメンの毎熊晟矢が送り込んだクロスボールをファーサイドで受け、冷静に蹴り込んだゴールだった。相手の左SBからボールを奪い、中村の3点目をアシストした毎熊のプレーも光った。次回があるかどうか微妙な国内組という点で、彼は伊藤敦樹と一致する。

 その一方で、今回が6月のエルサルバドル戦、ペルー戦に続く招集となった森下龍矢は、ドイツ戦はもとよりこのトルコ戦でも出番がなかった。今回招集した26人の中でただ1人、である。こう言っては何だが、ドイツ戦、トルコ戦とチーム内で唯一、2試合連続フル出場を果たした伊藤洋輝が、さして好プレーを見せたわけでもないのに、である。わざわざ欧州まで連れ出しながら出番を与えなかったのか、とても今日的とは言えない残念な采配である。

 それにしてもAとBをもう少し融合させたメンバーを、ドイツ戦に送り込めなかったものか。26人をAとBに分けるのではなく、26人すべてをAとしないと、W杯で5試合以上を戦うことはできない。試合毎にグラデーションを掛けるように漸次的にメンバーをいじっていく術が、ベスト8以上を狙う監督には求められている。

 ドイツに勝ってもトルコに敗れては身も蓋もない。トルコがもう一段、いいメンバーで向かってきたら、結果はどうなっていたかわからないとは、前半36分に3-0としてから、3-1、3-2、4-2と推移した、この試合を観戦しての感想だ。トルコはチャルハノールらの有力選手を投入するたびに、追い上げムードを加速させていった。

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