サッカー日本代表、ドイツ戦のカギは冨安健洋、古橋亨梧、鎌田大地の使われ方 (5ページ目)
【鎌田大地が機能するとチームはスーパーになる】
――西部さんの2人目の注目選手は誰でしょう?
西部 鎌田大地(ラツィオ)ですね。この選手を使えるかどうかは、結構面白いなと。それは監督の問題でもあり、本人の問題でもあるという感じで。
4-1-4-1をやるんだったら、鎌田はインサイドハーフを務めることになりますよね。その適性があるか? あるようで、ないようでという感じ。あることはあるんだけど、ドンピシャではない。それをチームとしてどう生かしていくかは、ちょっと興味深いなと思っています。
清水 ドンピシャじゃないというのは、どのあたりですかね?
西部 4-1-4-1の中盤って、真ん中にアンカーがいて、インサイドハーフは右と左にいる。左右は均等じゃないですか。「均等」と見ると、この両インサイドハーフの役割は「8番」タイプ(※攻守に堅実なプレーでチームを機能させる汗かき役)なんですよね。遊んじゃダメなんです。
だけど鎌田は「10番」タイプ(※技術とアイデアで攻撃を仕上げる役)なんです。言い方が少し面倒なんですが「10番っぽい8番」ということになる。クセのある選手だから、ここをどう生かすのか興味があります。フィジカルも強いし、すごく面白い選手なんだけど、一気に信用をなくすようなプレーもするので。
鎌田がスーパーになったら、チームもスーパーになると思います。
清水 ボランチタイプをインサイドハーフに並べたらうまく機能するんでしょうけど、それで点を取るとなるとやはり物足りない。そこで鎌田の外からも決められるとか、スーパーなアシストをするプレーが欲しいと。
難しいですよね。守田英正(スポルティング)タイプが2人並べばそれは安定するんだろうけど。
西部 機能性として求められるのは、実はそれなんですよ。だけどそういうチームってうまくいかないと思う。
片方は、そういう8番タイプの仕事を嫌々やりながらも、すごいクセのある選手がいるほうが面白いでしょう。
清水 クセのある選手がいるから、もう1人はこっち側に寄せてプレーしなきゃいけないと、ある意味指針もできるから機能しやすいかもしれない。アシンメトリーのほうが。
西部 動き方はシンメトリーじゃないとダメです。でもクオリティ的に何か違うと。守田と旗手怜央(セルティック)を並べちゃうと、そこの8番の仕事は及第点なんだけど「あとは何が?」という感じになってしまうと思います。
鎌田はそこの8番の仕事が時々抜けちゃうんだけど、それ以上のことをやる時がある。だからクセがあるかなと思うんですよね。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
清水英斗 (しみず・ひでと)
1979年岐阜県生まれ。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書に『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』(東邦出版)、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』(中央公論新社)、『サッカー好きほど知らない戦術の常識』(カンゼン)など。
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