日本代表のGKは本当にこの3人がベストなのか 「リベロプレー」を求めるなら他にも候補者はいる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

「誰かを推すなら、誰を外すか準備して、皆さんに質問していただければと思います」

 森保一監督は6月のキリンチャレンジカップの日本代表メンバー発表の席で、そんな牽制のメッセージを送っている。それぞれの「推し」について、「なぜ入っていない?」と糾弾されることへの疲れもあるのだろう。ただ、今年3月の代表招集ではメンバー外になったセルティックの古橋亨梧と旗手怜央、ポルティモネンセの中村航輔の選出に、世論の高まりが影響しなかったはずはない。

 そもそも代表監督はどの国でも、「なぜ〇〇が入っていない?」という圧力を受けるものだ。その対処も職務のひとつだろう。「推し」という意味では、むしろ森保監督にその色が濃く、ファンもメディアも焦燥を抱えていた。たとえばシーズン3得点の浅野拓磨(ボーフム)を選び、公式戦34得点の古橋を選ばないのは不合理だ。

 カタールW杯後も続投が決まった森保監督だが、マネジメントの難しさを抱えている。同じやり方を踏襲するだけではパワーダウンするだけに、監督自身がアップデートするしかないのだが、同じ指導者で違うサッカーに取り組むのは簡単ではない。これは監督自身の問題というよりも、選んだ側の責任なのだが......。

「これからは我々がボールを握り、ゲームをコントロールできるように。より勇気を持って、マイボールを大切にした戦いを」

 カタールW杯後、続投が決まった森保監督はそう宣言していた。しかし、復調した大迫勇也(ヴィッセル神戸)を呼び戻さず、浅野を切れなかった。どちらがタメを作れるのかは一目瞭然だ。

 冒頭の件で言えば、「推し」の色が強いのは誰か。ボールを持つ時間を増やし、ゲームを支配しながら、ゴール機会を増やすサッカーに転じるなら、選考からテコ入れすべきだろう。

「ゴールキーパーを見たら、どんなプレースタイルか、全体像がわかる」

 今やそう言われる時代である。たとえばエデルソンとマンチェスター・シティ、アリソンとリバプール、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンとバルセロナ、アレックス・レミーロとレアル・ソシエダなど、GKと能動的サッカーを信奉するチームのスタイルには符合性が強く感じられる。GKから戦術は始まるのだ。

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