サッカー日本代表の当たり前すぎる選手選考にメス「代表とJリーグにつながりがないのは危険」

  • text by Sportiva
  • photo by Kishiku Torao

サッカー日本代表 6月シリーズプレビュー対談 前編

中編「旗手の偽サイドバック始動!? 注目選手と戦い方」>> 
後編「ビルドアップやゴールの取り方など現状の課題」>>

サッカー日本代表のエルサルバドル戦(6月15日)、ペルー戦(6月20日)が行なわれる。今回の2試合の見どころ、注目ポイントについて、ライターの西部謙司氏と中山淳氏に語ってもらった。まずは選手選考について。

サッカー日本代表の3月のウルグアイ戦の先発メンバーはオール海外組だったサッカー日本代表の3月のウルグアイ戦の先発メンバーはオール海外組だったこの記事に関連する写真を見る対談動画を見る↓↓↓

【予選を勝ち抜くための選考をする必要がない】

――6月シリーズのサッカー日本代表メンバーが発表されました。まず発表されたメンバーを見ての感想を中山さんからお願いします。

中山 予想どおりというか、ヨーロッパ組メインっていうのは前回(3月)と一緒で、世間的には話題だったセルティック組ですね。古橋亨梧は特に、前回なんで呼ばないんだといろんな報道で飛び交ったので、さすがに今回は呼びましたねというのが、一つの話題ですね。

 あとはJリーグから新しく3人初招集というのがありましたけど、これは前回もありました。いろんな選手を入れ替えながら、W杯アジア2次予選とアジアカップに向けた人選をし始めたのかなという印象です。

――西部さんは、いかがでしょう?

西部 第一印象は、これでいいのかと思いました。当たり前すぎるでしょ。新しい選手が3人で、Jリーグから4人ですよね。

 評価の仕方としては、今までのやり方を踏襲してると思うんです。ただ、日本代表の置かれた状況が今までとは全く違う。アジア予選ゆるゆる、本大会は2試合で終わる可能性がある。そのなかで今までと同じアプローチで果たしていいのかなというのは疑問です。

 要するに予選を勝ち抜くための選考をする必要がほぼない。本大会はかなり遠くにあって、例えば前大会でも、3、4年前に三笘薫が本大会でプレーしているイメージは、多分誰も持っていなかった。

 今からW杯まで3年ですけど、3年間でかなり状況は変わるので、今からコツコツと作り上げてもしょうがないとは言わないけど、特に予選を勝つためにどうこうっていう視点はもう持たなくていい。

 では、何のために代表チームを使うのって言った時に、個人的に思うのは、Jリーグのプロモーションをやるべきだと。Jリーグが弱くなったら代表チームは立ち行かなくなるので、Jリーグのプロモーションにここは力を入れて将来に備えるというのが、状況に応じた賢いやり方なんじゃないかなと思います。

中山 それを求めるとしたら、もう監督を交代したほうがいいですよね、森保(一)さんが監督になった時点で、僕は諦めていると言ったらおかしいですけど、こういうふうになっちゃうだろうなと思っていたんで。

 当然興行ですから、W杯のあとに野球のWBCがあって、これからはラグビーのワールドカップとかがあるなかで、サッカーが一気にお客さんが減っちゃったりとかが怖いと。やっぱりちゃんとお客さんを集めないとというところで多分ある程度のチケットを買ってくれそうな選手は呼ぶ。プラスで先のことを考えて、若い選手も一応入れておくという流れになるだろうなと思っていました。

 西部さんが言うように、Jリーグ中心でガラッと変えるやり方があってもいいと思うんですね。先ほど言ったように、予選なんかはもうはっきり言って全然問題ないわけですから。ただその場合は、もう監督を代えたほうが早いなというのはありますね。

西部 そういう強化の方針を、状況に合わせて変えるというのは、もう監督マターではなく、もっと上の人の判断ですね。

 はっきり言えば会長ですね。GMも、どっちかと言うと専門職に近いので、もう会長マターですよね。会長が日本サッカーをどう舵取りしていくかという考え方。別にいいんですよ、今までどおりでも。でも、今までとは取り巻く環境が全く違うことに対するアンサーはどこにあるのという感じはします。

中山 まあ、会長自体がそこまで考えてないというのが絶望的なところがありますけれども。

 メンバーで言えば、確かにもうちょっとJリーグの選手が多くいてもいいんじゃないかと思いますね。特にJリーグを日常的に見ているサポーターからすると、そういう選手が呼ばれて、自分が応援している選手が入ってというのが理想的なところもあるでしょうから。

 今の流れだと、選手もヨーロッパに行かないと日本代表には入れないんじゃないかという空気は確かにありますから。

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