【谷口彰悟・新連載】憲剛さんに言われた「そろそろキャプテンをやったほうがいい」ですべてが変わり、日本代表へとつながった (2ページ目)
一方で、ふたりが言うように、新たに何かを背負うことで自分が変わることができるのではないか、とも考えた。ただし、その時は、キャプテンは自分がやりたいと思ったからといってなれるものではない、と思ってもいた。
年が明け、2020年が始動したキャンプだった。鬼木達監督に呼ばれると、僕はキャプテンに指名された。その場では鬼木監督からも、こう言われた。
「キャプテンをやることで、彰悟がもうひとつ殻を破るチャンスになるんじゃないかな」
今、思えば、鬼さん(鬼木監督)も、哲生さんも憲剛さんも、僕に足りないところ、僕が変わらなければいけないところを見抜いていたように感じている。
海外でプレーしたいという目標もあっただけに、キャプテンを引き受けることの大きさや意味を考え、すごく悩んだけど、チームが勝つことはもちろん、自分自身が変わるためにも、そのポジションを引き受けた。
また、それを契機に自分自身のプレー、マインド、姿勢と、すべてが変わっていった。
最初からキャプテンらしく振る舞えていたかと言われれば、決してそうではなかったと思う。チームのことはもちろん考えなければいけないし、同時にキャプテンだからこそ、自分自身のこともしっかりとやらなければならなかった。
チームと自分というふたつのバランスを保つのが難しく、時には周りを見すぎて自分を見失うこともあれば、自分のことを考えるあまり周りが見えなくなるなど、キャプテンを務める多くの選手が抱える壁に、自分自身もぶつかった。
ただ僕自身、キャプテンを務めるようになって大きく変わったのは、「チームのために言わなければ」という考えから、「チームのために言いたい」という思考の変化だった。
言わなければ、と、言いたい、とでは、その思考、姿勢は大きく違う。
それまでは、チームのために言わなければいけないとわかっていながらも、周りの空気や顔色を読み、抑えていた言葉を、キャプテンという役割だからこそ積極的に発言していけた。
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