なでしこジャパンの未来を担う19歳 浜野まいかはスウェーデンの地で大きく成長中

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

浜野まいかインタビュー(前編)

 昨夏、コスタリカで行なわれたFIFA U-20女子ワールドカップで準優勝ながらゴールデンボール(大会MVP)を獲得し、アンダーカテゴリーでその名を確かに刻んだのが浜野まいかだ。

自分に合う最高のチームで多くのことを吸収している浜野まいか自分に合う最高のチームで多くのことを吸収している浜野まいか セレッソ大阪堺レディースではユース世代からの叩き上げとして大きく成長し、2021年3月にはなでしこジャパン候補合宿に招集された。実際は1年延期されたが、東京オリンピック前の"秘密兵器"探しの一面もあったこの候補合宿。シュート練習などでも実力を垣間見せながらも浜野の東京オリンピックメンバー招集は叶わなかった。

「本気で東京オリンピックのメンバー入りを狙っていたから、すごく悔しかったです」と浜野は、この頃を振り返る。この負けん気の強さが、彼女を支えていることがこのあと、徐々に証明されていく。

 WEリーグ開幕時にはINAC神戸レオネッサへ、チーム史上最年少でのプロ契約で完全移籍。しかし、この逸材を海外のビッグクラブが見逃すわけがない。2023年1月、今や世界最高峰リーグと目されるほど勢いのあるスーパーリーグ(イングランド)のチェルシーFCと4年半の契約を結び、同時に身体的成長の場としてハンマルビーIF(スウェーデン)にレンタル中だ。

「もともと海外志向はあって、イングランドは行きたいと思っていたリーグでした。一旦はヨーロッパに慣れる、そしてスーパーリーグに立てるポイントをしっかり重ねていくこと、今はとにかく成長したいです」

 このハンマルビーが、浜野のインテリジェンスを刺激するにはピッタリのチームだった。チーム内には各国の代表選手も多く、つなぎ所もしっかりとイメージできる。それでいて強度が日本よりも断然高く、メンタル面サポートなども充実している。日本女子サッカーで育った浜野の長所が潰されることなく成長できる環境なのだ。トレーニングを見れば、浜野がチームに受け入れられていることが一目で理解できた。メニューの理解が乏しいと感じた選手たちが浜野に優しく補足する姿は日常だ。

「めちゃくちゃみんな優しいです。トレーニングのあとは提携しているホテルで食事が出るのでみんなで移動します。そのあとまた戻ってジムの日もあればメンタルミーティングがあったり、もちろん2部トレーニングも頻繁にあるので結構忙しいんですよ(笑)」

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