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日本代表、突然のシステム変更で何が起きたか 「導入のきっかけ」久保建英が語った期待と苛立ち (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

【4-4-2が機能する条件】

 だが率直に言って、組織としては機能していない。むしろ選手の距離感が悪くなって、前線に人が余る形になり、攻撃は停滞。コロンビアが完全に逃げ切り態勢に入っていたので押し込むことはできたが、お互いが何をすべきか模索したままで終わっている。1-2での逆転負けは必然だ。

 ラ・レアル(レアル・ソシエダ)がこのシステムで成功している理由は、スカウティングの一貫性にある。技術が高く、頭もよく、連係でスペースを制し、崩せる選手を隅から隅まで揃えて、鍛えられている。久保はダビド・シルバのような左利きの名手と近い距離でプレーすることで相手を翻弄。他にもブライス・メンデス、ミケル・メリーノ、ミケル・オヤルサバル、アレクサンダー・セルロートなど、ボールプレーヤーとしての質の高い選手を多く従えることで、敵を撹乱できる。

 このシステムの運用には、久保だけでなく、たとえば鎌田大地が不可欠だった。利き足は違うし、経験も足りないが、センス的にはシルバに近い。ふたりが揃ってこそ、プレーに緩急が生まれ、相手にダメージを与えられる。ちなみに4-2-3-1であっても、久保がトップ下、鎌田がボランチなら、もう少し攻撃で工夫できただろう。

 能動的にボールを運び、人が湧き出すような攻撃を連続するには、ノッキングするポジションがあってはならない。

 鎌田以外にも、有力な左利きのサイドバック、高さとポストワークに長けたストライカー、ボランチ的性格のアタッカーなど、最低3人は必須条件だろう。ひとり目は冨安健洋を推す。右利きだが、高いレベルで左足を使った左サイドバックをこなしている。ふたり目は上田綺世に任せたいが、特性では大迫勇也のほうが上で、競争に期待。そして3人目は、今回メンバー外になった旗手怜央がまさに適役だ。

 何より、森保監督が本気でこの戦い方に取り組む姿勢も欠かせない。トレーニングで試すべきで、さもなければ要領を得ない選手や技術が足りない選手は浮いてしまい、単なるアナーキーなプレーになってしまう。ピッチ上での秩序の崩壊だ。

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