日本代表、突然のシステム変更で何が起きたか 「導入のきっかけ」久保建英が語った期待と苛立ち (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

【CL出場圏に目を向ける久保】

 終盤、苛ついた久保が後ろから引っ掛けられたコロンビアの選手と一触即発になる場面もあった。ラ・レアルの時のような気持ちのいいパス交換は皆無。そこでリズムが出ないのだろう。

「うまくいかず、イライラしていたかもしれません。自分が通せたはずのパスが通せなかったり、決められたはずのシュートがブロックされたり、要らないスプリントをして足にきたり。相手に突っかかるのも、ふだんの自分じゃなかった。失点を取り返そうと、気負っていたんだと思います」

 森保監督が新しいシステムに手をつけたことは朗報と言える。しかし、その場合、選手選考から練り直すべきだろう。

「次(6月)の代表戦は勝たないと。ホームで勝ち点3、しっかり勝つ意識で、選ばれたら、今回はもったいないことをしたので、コンディションを仕上げられるように......」

 久保はそう言って、すでにスペインでのリーグ再開に目を向けていた。

「帰ったら、すぐにビジャレアル戦で。CL(チャンピオンズリーグ)出場権を考えると(現在は4位で)、負けられない。3位と5位の試合も同時にあるので。22歳までにはCLに出たいというのはありますね。リーガで試合に出るだけで成長はできていますが、あと5点は決めたいと思っています」

 あと5点で二桁に。ラ・レアルでは、十分に届く数字だろう。

<代表で久保をどう生かすか>

 それはあいかわらず森保ジャパンにとって、課題のままだ。

 

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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