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トルシエが感じた日本サッカーとベトナムの類似点 小野伸二や稲本潤一ら黄金世代ともU-20代表は「よく似ている」

  • 田村修一●取材・文 text by Tamura Shuichi
  • photo by Kazuya Gondo/AFLO SPORT

フィリップ・トルシエ
ベトナム代表監督就任インタビュー(2)

◆インタビュー(1):日本嫌いの前任者→トルシエがベトナム代表監督に就任 すぐに合意したのは「同じ条件という提示額をそのまま受け入れた」>>

 2018年にフィリップ・トルシエがPVFフットボールアカデミー(ベトナムサッカー才能育成基金)のテクニカルディレクターに就任し、彼の取材のためにベトナムを訪れるまで、筆者がベトナムサッカーとベトナム人のメンタリティに触れる機会はほとんどなかった。Jヴィレッジに優るとも劣らない優れた施設に滞在して感じたのは、ベトナムの人々の勤勉さであり、規律の高さだった。

 トルシエは、日本代表監督に就任した当時の日本と今日のベトナムには、多くの類似点があるという。それは、サッカーを巡る環境だけに限らず、人間性やメンタリティを含めてのことだろうなと想像できる。トルシエの言葉は続く――。

日本代表を率いていた当時のフィリップ・トルシエ。ベトナムではどんなチームを作り上げるのだろうか日本代表を率いていた当時のフィリップ・トルシエ。ベトナムではどんなチームを作り上げるのだろうかこの記事に関連する写真を見る――およそ25年前、あなたが初めて訪れた時の日本と、今日のベトナムには類似点がありますか。また、異なる点はどういったところでしょうか。

「私が負った責任に関しては、似たところがある。どちらもA代表と五輪代表を兼任し、大きなグループを作り上げることを可能にした。ふたつの代表の垣根をすべて取り払った。選手たちが交じり合うのを私は望むし、若い世代に私の経験を伝えて、彼らに希望を与えたい。

 他にも、多くの類似点がある。スタッフについてもそうだ。スタッフもふたつのカテゴリーを分け隔てなく見ている。

 選手の80%が国内でプレーしている点でも、ベトナムは25年前の日本と同じだ。もちろん、リーグのレベルは日本のほうが高かった。とりわけ、組織面においてそうだった。Jリーグが創設されたのは1993年だ。クラブは組織的に組まれたカレンダーに沿って活動していた。

 クラブの競争力では大きな差があり、ベトナムには大きな進歩の余地がある。代表がより多くの経験を積むためにも、そこは早急に改善していく必要がある」

――ベトナムのクラブチームの現状については、どう見ていますか。

「競争力は決して高いとは言えず、年間の試合数も少ない。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)などの国際大会でも、優れたパフォーマンスを発揮していない。ただそれは、代表の進化の余地が大きい、ということでもある。

 私が望むのは、リーグ戦が定期的に開催されることであり、そこでより高いパフォーマンスが発揮されることだ。クラブの競争力を高めるには、選手が常にプレーし続けることが必要だし、リーグのレベルが上がっていくことが不可欠だ」

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