トルシエが感じた日本サッカーとベトナムの類似点 小野伸二や稲本潤一ら黄金世代ともU-20代表は「よく似ている」 (2ページ目)
――代表チームの運営については、いかがですか。
「東南アジアの枠組みを超えて、試合をする必要がある。世界のトップ50、トップ60との対戦が、選手に豊かな経験を与える。レベルの高い相手と対戦することで、さまざまなことを学び、間違いを修正し、弱点を補強することができる。
これから築かねばならないのは、大規模な作業場だ。その実現に、私は心血を注いでいる。多くのサポートを受けているが、同時に協会やメディア、サポーターからの期待も感じている。ベトナムの人々にとって、サッカーは感情の発露なのだ。
しかし私は、そういった感情の発露以上に働くことが必要だし、理性や組織、構造を築いていく必要がある。感情的であるのも悪くはないが、優先させるべきは機能であり、組織だ」
――若い世代のポテンシャルはいかがですか。日本では、小野伸二や稲本潤一、本山雅志ら「黄金世代」を導いて、チームの骨格を築き上げました。ベトナムも先日ウズベキスタンで行なわれたU-20アジアカップで、イラン、オーストラリア、カタールと同じグループで互角の戦いを見せました(※)。
※2勝1敗、勝ち点6という成績でイラン、オーストラリアと並ぶも、得失点差の結果、グループ3位となって決勝トーナメント進出は果たせなかった。
「日本でU-20代表の監督を引き受けた時の印象と、現在のU-20ベトナム代表に対して抱いている印象はほとんど同じだ。U-20ベトナム代表は、ポテンシャルの面でU-23ベトナム代表を上回っている。
特に攻撃陣にタレントが豊富で、U-23代表に入れてもプレーできる選手が少なくとも5~6人いる。その点で、24年前のU-20日本代表ととてもよく似ており、実際にシーゲームズにも(U-20代表の選手を)5~6人連れていきたいと思っている」
――U-20代表の選手たちの可能性を感じているわけですね。
「これは、とてもポジティブな要因だ。一方で、U-23代表の選手たちは能力の点では申し分ないが、クラブではふだんプレーの機会を得ていない。レギュラーポジションを獲得しているのは2~3人だけで、それ以外はサブとしても出場機会に恵まれない。
そうしたことは、U-23代表が抱える問題のひとつ。すばらしい選手たちがいて、理解能力も高く、私の要求にも即座に応えられるが、残念なことに競争力の欠如が大きな欠点になっている。
その点においては、それに代わるトレーニングを課すことで、私が解決しなければならない問題でもある」
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