サッカー日本代表のウルグアイ戦はデータ上もかなり寂しい攻撃内容 空振りだったプレス回避策含め、課題が多かったのが最大の収穫 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【くさびのパスはほとんど見られない】

 問題なのは、ビルドアップ時へ意識が置かれていたためか、敵陣に入ってからの攻撃方法が整理できていないことだった。その点については、同じく3バックに可変していた第一次森保ジャパン初期と比べて、明らかな違いがあったと言っていい。

 この試合の日本のシュートは、わずか4本。同点弾となった西村のシュートを除けば、浅野拓磨の3本(12分、22分、54分)のみだった。確かにボール保持率では46.5%のウルグアイに対して日本は53.5%を記録したが、それは最終ラインでの横パスやバックパスが多かったからだ。印象としても、シュート8本のウルグアイが優勢の試合だった。

 とりわけ日本の攻撃で目についた現象のひとつが、アタッキングサード中央へのくさびのパスがほとんど見られなかったことだ。

 ライン間でボールを受けるのが得意な1トップ下の鎌田大地は、5番(マティアス・ベシノ)の厳しいマークで消されてしまい、裏抜けが得意な1トップの浅野が前線でくさびのパスを受けたのは、後半50分のシーンのみ。第一次森保ジャパンでは攻撃のバロメーターにもなっていた縦パス供給は、すっかり影を潜めていた。

 同時に、敵陣に押し込む時間が短かったこともあり、クロスボールも1試合で6本しか供給できなかった。たとえば後半57分、せっかく敵陣でボールを保持するかたちを作ったシーンでも、両SBの菅原と伊藤が大外のレーンで高い位置をとり、ハーフレーンから中央レーンに三笘薫、浅野、鎌田、堂安律と、4人もの選手が立ちながら、結局、相手のブロックに屈してGKまでボールを戻してしまうほど。

 結局、日本のフィニッシュにつながった攻撃は、浅野が相手の背後を狙った動きと、伊東純也がスピードでサイドを突破してから供給したクロスと、いずれも縦に速い攻撃パターン。カタールW杯で威力を発揮したカウンター系の攻撃に限られていて、それは、後半61分に上田綺世が浅野に代わって投入されたあとも、基本的に変らなかった。

 もちろんメンバーも異なるため単純には比較できないが、当時オスカル・タバレス監督が率いていたウルグアイに対し、シュート14本を記録して4-3で勝利した2018年10月16日の国内親善試合と比べると、かなり寂しい攻撃内容に終わっている。

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