サッカー日本代表のウルグアイ戦はデータ上もかなり寂しい攻撃内容 空振りだったプレス回避策含め、課題が多かったのが最大の収穫

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【視点は強豪相手にも目指すスタイルを貫けるか】

 カタールW杯ラウンド16のクロアチア戦の敗退から約3カ月半。第二次森保ジャパンの初陣となった3月24日のウルグアイ戦は、1-1のドローで終わった。

森保ジャパンのウルグアイ戦。三笘薫ら個人の打開が数少ない武器だった森保ジャパンのウルグアイ戦。三笘薫ら個人の打開が数少ない武器だったこの記事に関連する写真を見る 戦っている当事者たちが常に勝利を目指すのは当然として、見る側としては、国内親善試合で重視したいのは勝敗よりも内容だ。とりわけ、森保一監督の続投が発表された際、JFA(日本サッカー協会)側は指揮官にもっと主体性のあるサッカー(自らアクションを起こして相手を上回るサッカー)を要求したという経緯がある。

 それを考えると、これから森保ジャパンの強化を見ていく場合、ついカタールW杯時の戦い方と比べてどのような変化、相違点があるかに焦点が集まりがちだ。

 しかし、第一次森保ジャパンにとって、カタールW杯での戦い方は強豪との試合用に急きょ採用されたサッカーだったことを忘れてはいけない。つまり、あの3-4-2-1によるリアクションサッカーは、2018年ロシアW杯後から指揮を執る森保監督が本来目指していたサッカーではなかったため、今後のチーム作りを見ていくための基準にはなり得ない。

 あくまでも、比較対象はロシアW杯からカタールW杯の間の約4年半で積み上げたサッカーであるべきで、今後は、森保監督が前回乗り越えられなかった「目指すスタイルを強豪相手にも貫く」というハードルを越えられるか、その見極めを念頭にチーム作りを評価していく必要があるだろう。

 そうでなければ、また同じことが4年後に繰り返されるだけになってしまうからだ。

 そういう意味で、今回の代表ウィークにおける2試合(ウルグアイ戦、コロンビア戦)も、チームとして掲げるスタイル、そのための戦術といった部分で、カタールW杯前とどのような変化や違いがあったのかを確認することが重要になる。

 まず、この試合で森保監督が採用した布陣は、結果的にカタールW杯で基本布陣となった3-4-2-1ではなく、ロシアW杯後からカタールW杯前までの間に最も多く使っていた4-2-3-1に回帰。カタールW杯メンバー以外でスタメンを飾ったのは、最終ラインの瀬古歩夢と菅原由勢の2人だった。

 同じく対戦相手のウルグアイも、"フェデ"バルベルデを1トップ下に配置した4-2-3-1。グループ敗退に終わったカタールW杯では、ディエゴ・アロンソ前監督が4-3-3、3-5-2、4-2-3-1と、複数の布陣を使い分けていたが、この試合で指揮を執ったマルセロ・ブロリ暫定監督は、「次の監督により多くの情報を渡すため」に4-2-3-1を採用した。

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著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

◆【画像】1トップ、サイドバックは誰が入るべきか 「森保ジャパン3月シリーズ」の理想フォーメーション

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