松木玖生らを擁するU-20日本代表 コロナ禍の影響をもろに受け強化に苦しんだ世代が世界大会への切符を手中に (2ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

【経験が生きた大一番】

 一戦毎に逞しさが増し、ちょっとした変化に心を乱すシュチュエーションも減った。限られた海外での経験を肥やしにすると、選手たちの振る舞いにも変化が見られるようになっていく。

 その経験が生きたのが、まさに今大会だった。

 中国との初戦、キルギスとの第2戦は相手の立ち位置が想定したものと異なり、試合の入りが極端に悪かった。守備に人数を割かれ、焦れるような展開になってしまう。それでも、選手たちは相手を見ながらサッカーを展開し、グラウンド状況も考慮した上で最善の策を取った。

 最も象徴的だったのが、ノックアウトステージ進出が懸かったサウジアラビアとの第3戦だ。1-0でリードしていた後半途中に3バックで相手の攻撃に対応したが、なかなかハマらずに布陣が間延びしてしまう。そこでFW北野颯太(セレッソ大阪)、MF松木玖生(FC東京)、MF山根陸(横浜F・マリノス)を中心に話し合い、4-4-2で戦うべきだと考えた。

 そこで最もベンチに近い場所にいた北野が指揮官に意向を伝え、自分たちの考えをハッキリと言いきったのだ。

 しかし、指揮官は選手たちの意見を聞いた上で、そのままやってほしいとベンチの考えを伝達。「4-4-2に戻したほうが、特にボールを持った時にラクをできたかもしれない。ただ、この形でレーンを人で埋めて中央を固めつつ、ボールサイドを作って跳ね返す、セカンドボールを拾う、カウンターを仕掛ける。これを我慢してやってほしかった」という意図で、敢えて3バックの布陣を続行した。

 ただ、「そうやって意見が出てきたことは大きな成長だ」と冨樫監督は言う。

「自分の意見もこうだからこうしようと言ったし、彼らもそうしますと言ってトライしてくれた。ものすごく苦しかったと思うけど、よりいろんなものが自分たちのものになった」

 逞しく戦った選手たちは成長を遂げていくと、ワールドカップの出場権がかかった大一番でも動じなかった。

 3月12日のヨルダンとの準々決勝。試合前まで雨が降った影響で、ピッチはぬかるんでいた。普通であれば、ボールをつなぐのも困難な状況。しかしスタジアムに着くと、選手たちからは口々に「ラオスと一緒やん」という声が出た。「割りきらないといけないかも」という想定をしつつも、ウォーミングアップを終えると、今度は「意外にパスを出せる」と選手たちが自ら感じて判断を下した。

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