谷口彰悟が日本を飛び出した理由「JリーグをやっていればW杯に出場できる感覚になってほしくない。何が言いたいかというと...」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

谷口彰悟(アル・ラーヤン/カタール)インタビュー@後編

◆前編はこちら>>「地獄のような経験」「これがワールドカップの重圧なんだ...」
◆中編はこちら>>「5枚で守るなら工夫が必要だった」「ドイツとスペインに勝った価値は変わらない」

 谷口彰悟はスペインをわずか1失点に抑え、クロアチアの攻撃陣とも互角に渡りあった。海外組が多くを占める日本代表において、谷口の活躍がJリーグの価値を高めたのは間違いない。

 しかし、ワールドカップという舞台を経験したことで、谷口はあらためて日本と世界の差を感じたという。ずっと日本でプレーしてきたからこそ言える、Jリーグへの想いとは──。

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谷口彰悟はなぜ海外移籍の道を選んだのか谷口彰悟はなぜ海外移籍の道を選んだのかこの記事に関連する写真を見る── 先日、中村憲剛さんと佐藤寿人さんが「Jリーグしか経験していない谷口選手がワールドカップであれだけできたのは、すべてのJリーガーに勇気を与える」(2022年12月31日web Sportiva掲載「中村憲剛と佐藤寿人がW杯で感じた世界との差。谷口彰悟のパフォーマンスはJリーグでプレーしている全選手が勇気づけられた」)と称賛されていました。Jリーグの価値を証明した谷口選手は、9年間プレーしたJリーグに対してどのような思いを抱いていますか。

「僕はJリーグに育ててもらったし、Jリーグでやってきたからこそ、ここまで来られたということは胸を張って言えます。Jリーグでも成長できるという思いも、もちろん持っています。

 Jリーグにもたくさんいい選手がいて、僕が対戦したなかでも、日本代表でもやれるなと感じる選手はたくさんいます。でも、Jリーグでしっかりやっていれば、代表に入ってワールドカップに出場できる、という感覚にはなってほしくはないです」

── Jリーグでも成長できることを証明した谷口選手が、なぜそのように思うのですか。

「日本人はすごく真面目だし、今、Jリーグでプレーしている選手たちも向上心を持って、真摯に取り組んでいると思います。ただ、どこを目指すのかというところはすごく大事なことで、そこを見誤ると、その努力が無駄になってしまう。本当の成長だったり、自分の価値が上がっていくようなことにつながっていかないんです。

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