「地獄のような経験」「これがワールドカップの重圧なんだ...」谷口彰悟が31歳で初めて知った大舞台のプレッシャー (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

── ワールドカップの経験が、海外移籍の想いを強くしたところはありますか。

「ワールドカップの前から、大会後に移籍することは僕のなかでは決めていました。ただ、ワールドカップに出たことで、より想いが強くなったことは間違いないですね。

 自分のこれからのサッカー人生をイメージした時に、このままでいいのかということをすごく考えたし、行くなら今しかないとも考えました。いろんなことを考えさせられるきっかけになった大会だったと思います」

── あらためて、ワールドカップは谷口選手にとってどういう大会でしたか。

「シンプルですけど、すごく楽しかったですね。グループリーグではドイツとスペインに勝つという最高の瞬間を味わうことができましたし、一方でコスタリカに敗戦を喫して、地獄のような経験も味わいました。

 もちろん、クロアチア戦もベスト8の壁を乗り越えられず、悔しい結果となってしまいました。でも、この大会期間中だけでも大きな刺激をもらいましたし、代えがたい経験を手にしたことは間違いありません。

 自分でも絶対に成長できたと断言できるような、濃密な1カ月間でした。今はこの経験を次に生かしたい、という思いがすごく強いですね」

── 2戦目まで出番がないなかで、グループリーグ突破がかかったスペイン戦でスタメン起用されました。ピッチに立った瞬間はいかがでしたか?

「スタメンで行くとわかった時は、やっぱり緊張しましたし、身体がどんどん重くなっていく感覚を味わいました。これがワールドカップの重圧なんだなと、身を持って体感しました。

 ただ、出ることがわかってからはしっかり準備をするところにフォーカスして過ごすことができたので、心も身体もいい状態で試合に臨めたと思います。

 もちろん、ワールドカップのプレッシャーはありましたし、絶対に勝たなければいけない状況でしたが、逆にそんな重要な試合で初めて出させてもらえることは、これ以上ないシチュエーションだと思っていました。

 その状況を楽しめるくらいまで持っていきたいと考えていたので、重圧を乗り越えたうえでピッチに立てたという経験は、僕のなかで大きかったと思います」

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