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日本代表の敗因は何だったのか。3バック選択と慢心、遅攻に相応しい1トップがいなかった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

町野修斗を起用しないミスキャスト

 ドイツ戦では、堂安律が決めた先制ゴールを、アイスホッケー的にいうダブルアシスト役として関与していた。ドイツの守備網はそのドリブルによって混乱に陥った。だが、高い位置で1対1に及んだ回数が、その1回だけであったことも事実だ。

 多くのメディアは、左ウイングバック起用が奏功したと称賛した。左ウイングで使ったほうが三笘はもっと活躍したはずだとする意見を聞くことはあまりなかった。そこには目をつむり、3バックへの移行こそが1番の勝因というストーリーに組み込もうとした。

 こうした事態を招きそうなことは「3バック好き監督」を日本代表監督に据えた瞬間から予想できた。サンフレッチェ広島時代に愛用していた3-4-2-1を断念し、4-2-3-1や4-3-3を採用する理由を語らず、ウヤムヤにしたまま4年半、代表チームの指揮を執り続けた弊害が、このコスタリカ戦で一気に露呈した。筆者はそう見ている。

 選手のセレクトでも森保監督は大きなミスを犯している。コスタリカ戦の支配率は、ドイツ戦(23%対66%、中間11%)とは一転、49%対40%、中間11%と日本が上回った。後半になるとその傾向はさらに深まり、57%対24%、中間19%に達した。にもかかわらず、森保監督は後半頭から1トップにスピード系の浅野拓磨を送り込んだ。

 攻撃の大半は遅攻だったにもかかわらず、1トップに、身体を前に向けてしかプレーできないポストプレーが不得手な選手を送り込んだ。ミスキャスト以外の何ものでもない。タイプで言うなら、ここは町野修斗になる。起用しなかった理由は、町野のプレーがW杯のレベルに達していないと踏んだからではないか。

 町野を追加招集した理由がわからない。スタメンを張りながら前半45分でベンチに下がった上田綺世は、浅野あるいは前田大然よりポストプレーを得意にするが、見てのとおり、高い位置でボールを収めることができなかった。レベルに達していないことが一目瞭然だった。

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