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日本代表の敗因は何だったのか。3バック選択と慢心、遅攻に相応しい1トップがいなかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

日本の最終ラインは人が余っていた

 ところが森保監督は、3バックへの変更が奏功したと勘違いした。この試合の後半の戦いにそれは明確に現れていた。なぜコスタリカ相手に5-2-3(3-4-3)にしたのか。意図はまったく伝わってこなかった。

 森保監督が3バックを大好きなのはわかる。サンフレッチェ広島時代から、3バックしかやってこなかった監督だ。「これからは3バックが流行りますよ」と、その交流を促すかのような言葉も、当時の会見で口にしている。3バックの信奉者であった森保監督が、代表監督に就任するや、なぜそれを封印したのか。そもそも3バックがなぜ好きなのか。謎は膨らむばかりだった。

 3バックとひと口に言っても、何種類もある。守備的なものから、バルセロナやアヤックスが一時期定番にした、マルセロ・ビエルサが好みそうな攻撃的な3バックもある。ところが、森保監督に限らず日本の指導者はそのすべてを「3バック」と称する。4バックは4-2-3-1、4-3-3、4-4-2、4-2-2-2と細分化するのに、3バックは細かな布陣表記をしない。追究が甘いのだ。3バック好きの森保監督とて例外ではない。なぜその布陣を使用するのか、語ったためしがない。

 コスタリカ戦。1点を追いかける日本は終盤、マイボール時になると伊藤洋輝、吉田麻也、板倉滉が最終ラインに並んでいた。人員をダブつかせていたのである。理由を聞きたい。

 日本はその時、守備的サッカーを行なっていたのだ。こうした場合、4-2-3-1をはじめとする一般的な4バックなら、最終ラインはCBが広い間隔で構える2バックになる。両サイドバック(SB)は両ウイングを下支えしようと、高めの位置を取る。これが世界の常識だ。

 しかもこの時、ピッチに立っていた選手のなかで最も頼りになる選手は三笘薫だった。彼は実際、終盤にかけて2度ほど決定的な突破を決めていた。日本サッカー史上最高のドリブラーを、森保監督はなぜ左ウイングバックという低い位置にとどめておくのか。4-2-3-1や4-3-3の左ウイングとして高い位置に張らせ、活躍の機会を増やそうとは思わないのか。

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