前田大然、浅野拓磨、伊東純也......。100mを走ったら誰が一番速いのか。元陸上オリンピアンがサッカー日本代表の走り方を解説 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by JMPA

種目の垣根を越えてさまざまな要素を取り入れるべき

 最近ではマンチェスター・シティなど、欧州のビッグクラブの練習の風景がSNSにアップされたりしていますが、サッカーのトレーニングのなかに陸上の要素がたくさん取り入れられているのがよくわかります。

 ここも日本が変えていかなければいけない部分だと思っています。どうしても日本はサッカーならサッカー、野球なら野球、陸上なら陸上と、情報ややり方を分断しすぎる傾向にあります。

 たとえば遠くに蹴る、速く走る、コンタクトで負けない。そのために必要な要素は、どの種目から取ってきてもいいわけです。そこを指導者間でも区分けしたがる傾向があって、ダイバーシティな感覚がないのは非常にもったいないと思います。

 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が、他競技の要素を勉強して取り入れているのは有名な話です。種目の垣根を越えてさまざまな要素を含んでいたとしても、受け手の選手がそのメニューをサッカーの練習だと思えば、サッカーの練習になるわけです。

 そうした競技に対する概念や考え方、定義などの捉え方が、日本は欧州のトレンドとは違うものだと思います。遅れているのではなく違う。

 でも欧州トップリーグで活躍する日本人選手を本気で数多く育てていくならば、走り方やスピードに関する認識のアップデート、トレーニングの捉え方など、根本的なところから意識改革をする必要があると思います。

杉本龍勇 
すぎもと・たつお/1970年11月25日生まれ。静岡県出身。1992年バルセロナ五輪の100m、4×100mリレーに出場。競技引退後は清水エスパルスやサントリーサンゴリアスのコーチなどを歴任。現在は法政大学経済学部教授。吉田麻也、板倉滉、堂安律、岡崎慎司らのパーソナルコーチも務めている。
Twitter:@TatsuoSugimoto

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