サッカー日本代表はカナダ戦でも戦術浸透度の低さを露呈。森保ジャパンは4年間同じ問題を解決できなかった (3ページ目)

  • 中山 淳●文 Text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

「相手の対策」への日本の対策が見られない

 ここで視点を変えて、日本の立場に立って見るとどうなるか。結局、このカナダ戦で見えた問題点は、実はエクアドル戦で露呈した問題点とまったく同じなのがわかる。要するに、森保ジャパンの戦術浸透度が低いことが証明された格好だ。

 その結果として表れたスタッツ(データ元『skysports.com』)が、日本の45.6%対カナダの54.4%というボール支配率、7本(枠内2本)対17本(枠内3本)というシュート数で、日本がカナダに劣勢を強いられた原因でもあった。

 もちろん、日本が9月のアメリカ戦と同じメンバーであれば、もう少し違った展開になった可能性は残される。しかしながら、対戦相手が日本の戦い方を分析することが当たり前になっている現代サッカーにおいて、日本が相手の対策に対する対策を用意していなければ、メンバーが違っていても問題の本質は変わらない。

 さらに根深いのは、この4年間、森保ジャパンはこの問題をずっと解決できないまま、ここまで来てしまったことだろう。カナダ戦からドイツ戦までの5日間で、4年間できなかったものを覆せるのか。指揮官は、そんな秘策を持ち合わせているのか。

 この試合ではスタメンを飾った久保と酒井が前半で退いたため、現時点における森保監督の頭の中にあるドイツ戦のスタメンは、はっきりとした。冨安健洋、守田英正、遠藤航が間に合うことを前提とすれば、9月のアメリカ戦と同じスタメンになるはずだ。

 彼ら11人が、それまでとの劇的な違いを生みだすか、あるいはドイツが4年前のコロンビアのような予想外の失態を犯すか。

 11月23日は、そこにわずかな望みを託して、グループリーグ初戦に挑むことになってしまった。

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