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サッカー日本代表はカナダ戦でも戦術浸透度の低さを露呈。森保ジャパンは4年間同じ問題を解決できなかった (2ページ目)

  • 中山 淳●文 Text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

日本の出方、変化にもしっかり対応したカナダ

 カナダの布陣は4-4-2。つまり、自分たちがボールを保持している時は、4-2-3-1の日本が4-4-2に可変して守るので、4-4-2対4-4-2という、フィールドプレーヤー10人が完全にマッチアップする状態になる。

 立ち上がりのカナダは、GKがボールを保持した時に日本の守備陣形を確認し、センターバック(CB)の2人と逆三角形を作ってからCBに一旦ボールを預けたところで、日本のハイプレスの方法をチェック。そして、その確認作業をしている間は無理してビルドアップせず、ボールを大きく蹴り出して日本のプレスを回避する。これは、試合序盤はある程度日本のハイプレスを受け入れることを前提とした戦い方だ。

 ところが、その確認作業中の前半8分、CBがバックパスしたボールをGKがクリアしたあと、日本にボールを回収され、失点。DF4人のラインコントロールにおけるミスが失点の原因となったが、仮にエクアドルのように開始から日本のハイプレス対策をしていれば、GKがクリアせずにボールをつないで前進できた可能性もある。そこは、カナダとエクアドルの違いであり、カナダにとっては改善ポイントでもある。

 しかし、日本のハイププレスの方法を確認してから、つまり先制点を許したあとは、準備していたプレス回避を実行。ひとつはエクアドルと同じで、ダブルボランチのうちのひとりの13番(アティバ・ハッチンソン)が最終ラインの間のスペースに下りて、日本の2トップに対して数的優位の状況をセット。もうひとつは、2トップの20番(ジョナサン・デイビッド)が日本の前線と2列目の間のスペースに下りてそのエリアで数的優位をつくる方法で、これは6月のブラジル戦でネイマールが実践したプレーと同じだ。

 主にこの2つの方法を実行したカナダは、ビルドアップの精度の低さから前半35分と38分に日本のハイプレスを浴びてピンチを招いたシーンはあったものの、それ以外は、試合を通してほぼ日本のハイプレスを無力化することに成功し、主導権をにぎって試合を進められた。

 もうひとつ付け加えるなら、日本が後半85分に吉田麻也を起用して布陣を3-4-2-1に変更したあとも、カナダはその時右MFでプレーした10番(デイヴィッド・ホイレット)が最終ラインに下がって、5-3-2に可変。89分に山根視来のシュートを浴びるピンチはあったが、日本が3バックに布陣変更した時の対応策も準備していたことが見て取れた。

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