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GKシュミット・ダニエルは「絶体絶命のピンチを止めたい」と語っていた。有言実行のPKストップで、カタールW杯へ存在感上昇 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

「絶体絶命のピンチを止めるところを見せたい」

 実はこの30歳のGKは試合の二日前の練習後に、こんなことを話していた。

「試合に出してもらえるなら、アピールのチャンス。自分が出ても問題ないところを見せられたらいい。(具体的には)決定機を止めるところですね。絶体絶命のピンチを止めるところはなかなか見せられないので、できることなら見せたいです」

 そしてエクアドル戦の後半には、まさに「絶体絶命のピンチ」が訪れた。80分にミカエル・エストラーダが谷口彰悟に倒され、主審はPKを宣告。キッカーはエクアドルの英雄エネル・バレンシアだ。プレミアリーグでも長く活躍した32歳のアタッカーはその4分前に投入されてキャプテン腕章を巻き、ボールをスポットに置いた。

「相手が蹴る前にたくさん動いて、気を逸らそうとしました」とシュミットはこの時を振り返る。「最後は自分が信じたほうに思いきり飛んで、結果的にドンピシャで。いいところにボールが来ました」。

 謙遜気味にそう話したが、実際にキックを弾き出した時は、「自然と」ガッツポーズが出た。

 しかしピンチはそれで終わらず、85分にはエクアドルのFKからまたしてもE・バエレンシアが日本のゴールを強襲。力強く頭を合わせ、ボールは右のトップコーナーへ飛んだが、シュミットが見事なダイブではじき出した。あまりいいところのなかった日本が敗れずに済んだのは、日頃からベルギーで研鑽を積む守護神の活躍によるところが大きい。

「まあ引き分けだったので、満足とは言えないですけど、間違いなく、これまでに代表でプレーしたなかでは一番いいパフォーマンスだったかなと」と試合後にシュミットは真摯かつ淡々と取材に応じた。「そこは自信にしていいと思うし、チームに戻ってもこういうパフォーマンスを続けられるように頑張っていきたい」。

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