日本代表のW杯本番での戦い方が見えた? アメリカ戦をストレスなく観戦できたわけ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 ハイプレスがハマったという点においては、ボランチの舵取りも見逃せない。

 特に注目すべきは、左サイド。相手の右サイドバックが日本の左サイドで高い位置をとってきたのに対して、マッチアップする久保が前への推進力を保ちながら守備での対応ができていた。守田が語る。

「(久保が)引きすぎると前に行くパワーがなくなることを狙って、相手は(右サイドバックに)高い位置をとらせている。建英が(下がらず)背中で消せるならそのほうがいいし、その分、(味方がボールを奪った時には)フリーで前に行ける。彼からしたら、(右サイドバックが高い位置をとっているため)ヤバいと思って引いてしまうが、僕からしたら全然守れるよ、というのがあった」

 とはいえ、日本のハイプレスがハマりにハマった試合は、「自分たちのいい形でカウンターができてしまった分、課題らしい課題が出た試合ではなかった」と久保。バランスが悪い状態で無理やり攻撃に出ようとしたアメリカが、次々と日本にボールを奪われる結果となった前半は、少々割り引いて評価する必要がある。

 むしろ注目すべきポイントは後半、アメリカが4-4-2から3-4-2-1へとフォーメーションを変更したあとの対応にあるだろう。

 アメリカがフォーメーションを変えた結果、4-2-3-1の日本とは、いわゆるミスマッチが起こる結果となった。それにより、前からどうプレスをかけるかがはっきりせず、後半の立ち上がりはアメリカに攻勢を許す時間が生まれている。

 だが、それに対して森保監督は、日本も3バックに変更して対応することを考えたというが、「うまく守備でミスマッチに対応しながら攻撃に移れるなら、相手もミスマッチに対応しないといけない。そうなれば、攻撃のメリットがより大きく出るかなと思った」と、すぐに手を打つことなく、しばらく静観。その結果、「多少後手を踏んだが、問題なく修正してくれた」と振り返る。

 森保監督が続ける。

「私が素早く手を打つべきというのもあるが、公式戦では選手の対応力を生かして試合をしていかないといけない。そこはいいトレーニングだと思い、早く(フォーメーションを)変えることは決断しなかった」

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