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日本代表アメリカ戦の勝因は左サイドの改善。だが、相手を崩すアイデアがまだ足りない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

ビルドアップは決まらなかった

 高い位置でボールを奪っては、相手の守備陣形が整わぬうちに攻めきろうとする、まさにプレッシングサッカーで、日本はアメリカに対し優位に立った。その流れは、後半も維持された。変に中盤が間延びし、切るか切られるかの撃ち合いになることはなかった。

 だが、アメリカも堅いチームだ。伝統的に穴のない、規律正しい頭脳的なサッカーをする。日本もビルドアップには苦しんだ。チャンスの多くは相手のミスに乗じたもので、最終ラインからのビルドアップは決まらなかった。自慢のパスワークを発揮できたとは言えない。日本が高い位置からプレッシャーをかけても、ドイツやスペインは簡単にミスをしないだろう。日本には自らの力で崩す方法が問われている。

 不満を覚えたのはそこだ。そのためには両SBがもっと活躍する必要がある。中山雄太(左)、酒井宏樹、冨安健洋(右)は、立ち位置が数メートル低かった。両センターバック(CB)の間隔が狭いので、高い位置が取れないのだ。遠藤航か守田のどちらかが、アギーレジャパン時代の長谷部誠のように、マイボール時になると両CBの間に割って入り3バック的に構える可変式にするとか、両SBを中盤化して、パスコースを増やすとか、アイデアを練らないと、リアクションでしかサッカーはできなくなる。攻撃的な面白いサッカーにはならない。

 日本が後半43分に挙げたダメ押しゴールは三笘の個人技だった。そのドリブルシュートは、久保にはないすごみと切れ味があった。先発から外せない選手だと筆者は思う。

 話を布陣に戻せば、森保監督は後半41分、布陣を5バック(5-2-3)同然の3バックに変更した。守りきろうとしたわけだ。6月に行なわれたガーナとの親善試合でも、森保監督は最終盤に同じ手段に出ているが、アメリカ戦で最大の減点材料はここになる。

 この「守り」は、うしろで守る、後方を固めるという概念に基づいている。それまで86分間貫いてきたサッカーとは真逆だ。プレッシングに対するカテナチオと言っても過言ではない。その瞬間、主導権は相手に移る。

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