日本代表アメリカ戦の勝因は左サイドの改善。だが、相手を崩すアイデアがまだ足りない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

先制ゴールもプレスから

 南野もポジション的な適性は真ん中にあるが、これまでの4-3-3では左ウイングとして出場することが多かった。適性に加え、ポジションをカバーする概念の乏しさも加わるのか、南野は気がつけば真ん中に入り込む癖を、どの試合でも露呈させた。4-2-3-1なら南野もベストポジションは1トップ下となる。

 昨季のELを制した鎌田が今季、チャンピオンズリーガーに昇格したのに対し、南野は逆にチャンピオンズリーガーの座から降格した。リバプールから出場機会を求めてモナコに移籍したものの、現状ではスタメンの座を確保できずにいる。代表の1トップ下争いで鎌田に遅れを取るのは順当な結果と言えた。

 だが、南野には左ウイングという定位置がある。森保監督は、彼の適性がそこにないにもかかわらず、これまでその一番手として南野を起用してきた。三笘薫、久保建英ではなかった。
 
ところが、アメリカ戦の先発は久保で、その交代要員として後半23分から出場したのも三笘だった。森保監督はこれまでとは一転、南野に出場機会を与えなかった。甘い関係ではなくなった。

 アメリカ戦の勝因はここにあると考える。左ウイングで先発した久保も、好きなポジションはトップ下だとテレビのインタビューに答えていたが、彼は南野とは異なり、持ち場を終始カバーした。左ウイングが穴になることはなかった。対峙するアメリカ代表の右サイドバック(SB)セルジーニョ・デストは、欧州でも名の知られた優秀なSBだが、久保はその攻め上がろうとする道を常に塞いでいた。

 森保ジャパンのプレスは、いつになく高い位置から決まっていた。アメリカの最終ラインからの組み立てに、厳しいプレッシャーをかけ続け、ミスを誘った。鎌田の先制ゴールもその産物だった。

 ユベントス所属のウェストン・マッケニーは、背後に圧力を感じたのか、バックパスを雑に返した。これが伊東純也へプレゼントするかのようなパスになった。マッケニーに圧を掛けた守田英正がそのまま前に出て、伊東からパスを受けると、すかさず左に展開。鎌田が決めた得点のアシストのパスとした。

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