日本代表発表で明らかになった弱点はCFとCB。カバーする手は限られている (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by picture alliance/AFLO

瀬古の選出に事態の深刻さが

 板倉滉が左膝靱帯を痛め、招集不能になったことは確かに痛手だ。本番に向けて暗い材料だが、だからといって冨安を含め4人しか選ばないというのはどういうことか。W杯でベスト8を目標に掲げる(5試合を戦おうとする)監督のすることではない。

 板倉に代わって選ばれた瀬古は代表キャップ0だ。東京五輪でも22人のメンバーに選ばれながら、森保監督から1分もプレー機会を与えられなかった。U-24で同じ監督から冷遇された選手が、W杯を2カ月後に控えたいま、急にA代表選出される姿に事態の深刻さを見ることができる。

 戦力として計算できるのは吉田と谷口の2人だけ。CFよりも悲惨な状況である。事態の深刻さを全面に訴え、逆になぜもっと新戦力を試そうとしないのかと、意見したくなる。問題点が明るみに出ないように、隠そうとしているのではないかと詮索したくなる。

 CBとCF。まさに森保ジャパンは中心線に不安を残す状態にある。ともに可能な限り大型選手に務めてほしいポジションだ。W杯に出場する32チーム中、日本は平均身長ランキングで毎度30位前後に位置する低身長国だが、その基本的な問題点が、いま露わになっている状態だ。

 一方、中盤とウイングの人材は豊富だ。好選手が僅差でひしめき合っている。この4年間で、日本の成長が見て取れる部分だ。しかし、できれば体格の大きな選手が、2人に1人以上の割合でほしいボランチやアンカーになると話は変わる。大きくて巧い選手が少ないことが、この26人の顔ぶれから鮮明になる。いわゆるセンタープレーヤーの絶対数が不足しているのだ。

 そこで浮上する選手が、今季、チャンピオンズリーグ(CL)に初出場を果たした鎌田だ。先のマルセイユ戦では3-4-2-1の守備的MFとして先発している。後半の途中から2シャドーの左でプレーしているが、そこは相手ボールとなると5-4-1の4の左になる。半サイドアタッカーになる。鎌田のポジション的な適性は、真ん中に近い守備的MFのほうが高いように見えた。日本では希少な、文字通りのセンタープレーヤーであることが、この事実から浮かび上がるのだった。

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