日本代表発表で明らかになった弱点はCFとCB。カバーする手は限られている (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by picture alliance/AFLO

スピード系CFの問題点

 セルティックで1トップを張る古橋が、格的には一番上だ。しかしセルティックではともかく、過去に15試合出場した日本代表戦で、「古橋でいける」と太鼓判を押したくなる、うまくハマった試合は少ない。周囲との関係に問題を抱えるからだ。

 言わずと知れたスピード系である。1トップでひとり突っ走ると周囲との距離は空く。1トップ下のいない4-3-3で戦う場合はなおさらだ。孤立することは見えている。大迫を万能型とすれば、古橋はストライクゾーンの狭い非万能型ストライカーだ。使うとすれば、相手が疲れた後半なかば過ぎ。ウイングのほうがいいのではないかとの見方もしたくなる。

 上田は所属クラブであるセルクル・ブルージュが成績不振で、彼自身もその流れに巻き込まれている。ツボにハマれば一発はあるが、なかなかハマらない選手。彼もまたストライクゾーンの幅が狭い、コンスタントではない選手とは筆者の見立てなのだが、欧州組となっても変身したという様子はない。

 国内組の町野は、東アジアE-1選手権で初代表に選ばれる前は、まさに「当たっていた」が、7月2日の名古屋グランパス戦以降は9試合で1ゴール(しかもPK)と不発だ。他に選ぶべき選手がいなかったので、仕方なく選んだという印象である。

 前田も古橋同様、得点力はあるが、1トップにうまく組み込むためには周囲との綿密なコンビネーションが不可欠になる。過去にうまくいった例がいくつもあるならともかく、これからその関係を探ろうとすれば、時間的に難しいだろう。

 フィールドプレーヤー26人を眺めたとき、もうひとつ決定的に貧弱に見えるポジションはCBだ。吉田、谷口、冨安、瀬古。26人に対し4人はどう見ても割合的に少ない。しかも冨安は所属のアーセナルで、ほとんど出場していない選手だ。慢性的な筋肉系トラブルも抱えている彼を、いまあえて選出すべきなのか。無理して起用すべきではないとは筆者の意見だが、彼を呼ばざるをえないところに、日本の弱みがうかがい知れる。

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