楢﨑正剛はベルギー戦後、トルシエ監督にこっぴどく怒られた。「ケチョンケチョンに言われた。だけど...」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

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「日本サッカーの過去・現在、そして未来」
楢﨑正剛インタビュー(後編)

>>楢﨑正剛(前編)はこちら>>トルシエ監督の第一印象「腹立たしく思うことは結構あった」

 2002年6月4日----。日本中の期待を一身に背負って始まった日韓ワールドカップ初戦、ベルギーとの一戦は前半から一進一退の攻防が続いた。しかし、スコアレスで試合を折り返したものの、楢﨑正剛(名古屋グランパスエイト/当時、以下同)は後半立ち上がりの57分に鮮やかなオーバーヘッドから先制点を奪われてしまう。

「その時はいいシナリオしかイメージしていなかったので、まさかの失点という感覚でした。やっぱり先に点を取られてしまうと苦しくなるので、チーム内にもちょっとまずいなという雰囲気は多少ありました」

 ところが、その時間はわずかだった。失点から2分後、小野伸二(フェイエノールト)のパスに抜け出した鈴木隆行(鹿島アントラーズ)が執念の"つま先シュート"で同点ゴールを決めると、8分後には稲本潤一(アーセナル)が豪快な攻め上がりから逆転ゴールを奪取する。

雨の降る宮城スタジアムでトルコ戦後の楢﨑正剛雨の降る宮城スタジアムでトルコ戦後の楢﨑正剛この記事に関連する写真を見る「同点に追いついた時の声援が本当にすごくて、ワールドカップで点が入るとこうなるんだなって。日本を後押しするような雰囲気が急激に高まったので、一気に行けるような感覚がありました」

 しかし75分に同点ゴールを許し、日本は初戦を2−2の引き分けで終えることになる。ワールドカップ初の勝ち点を手にした一方で、逃げきれなかったという課題も残る一戦となった。

「ああいう守り方をするなかで、カバーしなくてはいけないところで失点してしまったのは悔いが残ります。2点目はカバーの意識を徹底していたなかで、どちらかといえば自分の対応のほうが遅れてしまいましたね」

 楢﨑の言う「ああいう守り方」とは、フィリップ・トルシエ監督のサッカーの肝とも言える「フラット3」を指す。

 3バックがフラットの陣形を保ち、積極的にラインを上げる守り方は、相手FWの動きを制限できる一方で、背後のスペースを与えてしまうリスクも備わる。その分、GKはゴールを守るだけではなく、最終ラインの背後のスペースをカバーする仕事も求められた。

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