福田正博が考えるサッカー日本代表ここからの強化ポイント。1トップをどうするか (2ページ目)
攻撃面では1トップをどうするのか
もうひとつのポイントが、両選手ともに、もしくはどちらかを故障などで欠いた場合にも備えなければいけない点だ。たとえばアジア最終予選では、センターバック(CB)のポジションで吉田麻也と冨安健洋を欠いたケースが実際に起きた。ふたりを欠く事態になっても、遜色なく戦えるバックアッパーを見い出すことも、本番までの大事な仕事になるだろう。
フォーメーションで言えば、三笘薫が所属のユニオン・サン=ジロワーズではウイングバックを任されて守備面でも成長していることや、CBの選手層が厚みを増したことを踏まえれば、3-4-2-1や3-5-2といった布陣を組む可能性があってもいい。個人的には、三笘は試合終盤の切り札として使ったほうがいいと思っているが、森保監督がどういう判断を下すのかは興味深い。
その森保監督は、フォーメーションありきで選手を配置するのではなく、手元にある選手たちと、相手の力量との兼ね合いを見極めて布陣を決められる柔軟さがある。ここから本番までの間で、どんな取捨選択をしていくかはしっかり見届けたい。
攻撃のところは1トップをどうするかという問題がある。相手に押し込まれる時間帯が多くを占めるなかでは、自陣で跳ね返したボールを1トップがキープしたり、ポストプレーで正確に落として、味方が押し上げられる時間を作り出さなければ、ふたたび相手にゴール前に押し込まれて苦しい時間を過ごすことになる。
4年前のロシアW杯では、1トップに入った大迫勇也が、味方が跳ね返したボールをキープしたり、味方に落とすことができ、まわりの選手たちは攻撃への切り替えが可能になった。その結果がグループリーグ突破につながり、決勝トーナメントのベルギー戦で攻撃が機能した点につながった。
あの働きぶりがあるからこそ、森保監督はこの4年間も大迫を1トップに据えてきた。しかし、W杯アジア最終予選を通じて大迫のコンディションがなかなかベストな状態にならないため、戦いが苦しくなったことは否めない。
ポストプレーの能力に関して言えば、日本選手のなかで大迫よりも上手な選手はいない。自分よりも体が大きく、パワーのある相手DFに体を寄せられたなかで、しっかりボールを収めたり、味方に落としたりする技術は抜群に高い。コンディションが万全なら大迫の一択だ。ただ、コンディション的に難しいのなら、他のFWを試す余地は十分にある。
その点で言えば、上田綺世に期待している。ポストプレーのクオリティーは大迫ほど高くはないものの、スピードもあるし、高さもある。なによりシュートのパワーは日本選手のなかでは群を抜いている。距離のあるレンジからでも強引にシュートを決められる、あの強烈なパンチ力は魅力だ。
ただ、現状の上田では、まだ心もとない。ここからJリーグのなかで、もっと存在感をアピールしなければならないし、なによりケガに負けない強さをつくりあげてほしいと思う。それができれば、W杯メンバー入りも見えてくるのではないかと思う。
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