福田正博が考えるサッカー日本代表ここからの強化ポイント。1トップをどうするか
■カタールW杯は、ドイツ、スペインなど優勝経験のある強豪との対戦になったが、「そうした強豪との戦いを想定してチーム作りをしてきたのが森保一監督」と、福田正博氏は指摘する。福田氏にここから本番までの、サッカー日本代表の強化ポイントを聞いた。
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いい守備からいい攻撃
サッカー日本代表が7大会連続のW杯出場を決めた。4月2日にはカタールW杯本大会のグループリーグで対戦するチームが決定。ドイツとスペイン、そしてコスタリカとニュージーランドの大陸間プレーオフの勝者と戦うことになった。
2010年W杯優勝国のスペイン、2014年W杯優勝国のドイツと同組になったことは、厳しいと言わざるを得ない。ただ、‟死の組"という表現には違和感がある。W杯に出場するチームのほとんどが日本よりも格上。与しやすい相手などいないし、どこが相手でも難しいグループであるのに変わりはないからだ。決勝トーナメントに勝ち進むのは簡単ではないが、諦める必要はない。
世界の強豪相手に、日本がボール保持率で相手を上回ることは、ほぼない。ただ、相手がボールを保持する強豪国との対戦でこそ生きるのが、森保監督が4年間かけてつくってきたサッカーと言える。
森保監督の掲げる『いい守備から、いい攻撃』というサッカーは、まず『守備』から始まる。相手が攻め込んできたところを、前線から選手が連動してポジショニングを取りながら数的優位をつくり、ボールを奪う。そして、攻撃を仕掛けていく。
この『いい守備』でキーマンになるのが遠藤航と守田英正だ。強豪を相手にした場合に、中盤での高い守備力は不可欠なもの。ボール奪取能力をはじめとする守備力の高い両選手とも、代えのきかない存在でもある。
このふたりの能力が最大限に生きるようにするのが、ここから本大会までの限られた時間での最優先すべきミッションだ。現状の日本代表は、W杯アジア最終予選の途中からフォーメーションを4-3-3に変更し、攻守のバランスがよくなって安定した戦いができるようになった。
これを踏襲するのが基本路線だが、W杯本大会での戦いを想定した場合にポイントになるのが、アンカーの遠藤の両サイドに生まれるスペースを誰がどうやってケアするのかになる。
このスペースを使われると、DFラインの前で相手に攻撃の起点をつくられてしまい、守備は後手を踏んでしまう。それを防ぐためには、4-3-3の布陣を崩さずに、守田を遠藤と横並びに配置する手がある。
もちろん、4-2-3-1に戻す手もある。しかし、それだと4-3-3よりも攻撃枚数が1枚増えることになるため、強豪国相手にその布陣にする意義があるのかという懸念はある。
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