エース・岩渕真奈が考えるなでしこジャパンに足りないこと。「うまいだけでは勝てない」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこジャパンの攻撃を牽引する岩渕真奈(アーセナル)。16歳でなでしこジャパン入りをした彼女も29歳となり、フットボーラーとして成熟期に差し掛かっている。スーパーリーグ(イングランド)でアーセナルという最高峰のチームで研鑽を積む日々。出場機会を得るための厳しい戦いが続くが同時に充実感にも包まれている。そんな岩渕が描くなでしこジャパンの未来予想図とは――。

万全とはいえない状態ながらも1月のアジア杯で、W杯の出場獲得に貢献した岩渕真奈万全とはいえない状態ながらも1月のアジア杯で、W杯の出場獲得に貢献した岩渕真奈 今年1月に開催されたAFC女子アジアカップでは、惜しくも準決勝で敗退したなでしこジャパン。しかし、日本は9大会連続となるFIFA女子ワールドカップ(2023年オーストラリア・ニュージーランド共催)出場権を獲得した。今大会3連覇を目指していたとはいえ、池田太監督になって初めて臨む国際大会ということもあり、簡単な戦いではないことは大会前から予想されていた。

 岩渕は開催国であるインド入国の際のPCR検査でまさかの陽性反応が出て、冒頭期間を隔離生活でスタートさせることとなり、コンディションが上がりきらないまま終えたことに対する悔しさと、伸ばすべき点への希望が入り交じった大会となった。

「自分はコロナ陽性で出遅れてしまったので何かを強く言えないんですけど......ワールドカップに向けて個々のレベルアップは当たり前として、やっぱり準備期間が短かったのは確かで、チームとしてもっと積み重ねていかないことには勝てない。でも戦術の部分は、すごく可能性を秘めていると思います」

 今大会、なでしこ入りを果たしたのは国内外のリーグで成長を遂げたFIFA U-20女子ワールドカップ(2018年)を制した若い世代の選手たちが多かった。いわゆる池田監督の愛弟子たちだ。

「太さんのことを昔から知っているということは、彼女たちにとっていいこと。自分の若い時と重ねて思うのは、代表は"選ばれて満足"する場所ではなくて、そこで勝たなくてはいけない場所なんだってこと。この年になって改めて感じています。もちろんみんなが思っていることだとは思いますけれど、それをもっともっと表現できるチームにならないと。全員で貪欲に結果を求められるようになりたいです」

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