エース・岩渕真奈が考えるなでしこジャパンに足りないこと。「うまいだけでは勝てない」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 岩渕が見せる若手選手へのアプローチは、自らが代表デビューした頃に澤穂希、宮間あやといったレジェンドたちと非常に似通っている。

「私は先輩方から『好きにやっていいよ』って言われ続けてきました。『守備の切り替えさえしてくれれば、どんどん仕掛けていいよ』と言われながら自分のプレーを出させてもらっていたから今の自分がある。だから、若い選手には、持っているものを全部出してほしいので、やっぱり自分も『好きにやっていいよ』って言っていますね。その中で彼女たちのプレースタイルを理解して、一緒になることによって変化を起こせるようになると思います」

 アジアカップの際、岩渕は「(今のままでは)簡単に世界を目指すとは言えない」となでしこジャパンの現状を語っていた。ではどのような要素が加われば、現実的な目標として自信を持って"世界一を目指す"と言えるのだろうか。

「自分たちのサッカーとは何なのか----『これです!』って全員が目指せるものを見つけられた時が、本当に世界と戦えるタイミングだと思います。だからこそもっと積み上げないといけないし、そのためにももっと代表として活動ができたらいいなって思っています」

"これ!"が日本だけが持つ武器であれば、大きなアドバンテージとなり、再び世界と互角に戦えることも決して夢物語ではなくなる。

「たくさんの海外選手とアーセナルでプレーしていて、日本人のどんなところがいいのかなってすごく考えるんです。協調性もあって人のためのプレーできるのって日本のよさ。もちろんアーセナルの選手たちもやっているけど、それ以上に日本人はできると感じる。ピッチに立つ11人が本当につながり合って繊細なサッカーができる。

 海外の選手のようにフィジカルを活かして大胆なサッカーはできないけど、だからこそ違った部分でつながりを持ってやれたらいい。日本のサッカーに対して"うまいよね"っていうワードはよく聞くけど、うまいだけでは勝てないので、もっともっとゴールに向かう意識を自分も持っていきたいです」

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