「日本代表に招集を」。オーストラリア戦勝利のカギは国内組の有効活用にあり (3ページ目)
久保建英を意識する20歳
荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)
了戒美子
第3節柏レイソル戦のゴールは鮮やかだった。0-0で迎えた後半11分にピッチに立つと、その9分後。味方のポストプレーにより荒木遼太郎のもとにボールが流れると、至近距離のディフェンダーをかわしつつ右足を振り抜いた。そのシュートは相手に当たりコースを変えながらGKの逆をつく形でゴールに吸い込まれた。これが決勝ゴールとなり、試合は1?0で終了した。それまでの停滞した戦況をひと振りで変える、途中出場の選手として理想的な仕事ぶり。フレッシュな勢いが溢れているように見えた。
荒木は一昨季の高卒ルーキーで、Jリーグには36試合出場で10得点。Jリーグベストヤングプレーヤーに選ばれた。今季からは背番号10を背負い、1月に行なわれた日本代表国内合宿にも招集されている。次代を担う選手であることは間違いない。
目標は2年後のパリ五輪ではなく、A代表だ。「A代表に選出されれば、自然と五輪メンバーにも選ばれると思うので、代表に残れるよう頑張りたい」と、1月には決意を話していた。11月のカタール行きも意識しているようで「可能性が少し出てきたので食らいついていきたい」とも。
2002年1月生まれで、学年で言えば久保建英と同じだ。「負けたくない気持ちもある」一方で、「いい刺激になっている」とも言う。一歩先をゆく同世代の存在を意識しないのは無理なことなのだろう。
とはいえ、10番のポジションは、日本代表ではいつの時代も激戦区である。攻撃的MFで時にはボランチ、サイド、布陣によってはFWまでこなし、なおかつパスやドリブルに個性を持つ選手がいつでも複数いる。そこに荒木が食い込むためには、今であれば思いきりと決定力がアピールポイントということになるだろう。
日本代表にもそろそろ何か目に見える変化がほしい時である。荒木にチャンスが巡ってくるのではないか。仮に招集されたとしてもチャンスは限られるだろうし、試合に出られたとしても時間は短いだろう。そのなかで結果を出す必要がある。厳しいことはわかっていても、海外組が揃った代表のなかで見てみたいと思わせる20歳だ。
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