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「日本代表に招集を」。オーストラリア戦勝利のカギは国内組の有効活用にあり (2ページ目)

  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

スカウティングしやすい日本に風穴を

宮市亮(横浜F・マリノス)
浅田真樹

 新戦力発掘のテーマは、右利きの右ウイングである。

 現在進行中のW杯アジア最終予選では、伊東純也(ゲンク)が4試合連続ゴールと大活躍。得点以外のチャンスメイクも多く、もはや日本代表に欠くことのできない存在だ。

 伊東が代えの効かない存在になっている理由のひとつは、右利きの右ウイングであるということだろう。同じポジションを争う堂安律(PSV)や久保建英(マジョルカ)は、技巧派の左利き。彼らが右サイドに入ると、どうしてもボールの動きが中央に向かうことが多くなり、チーム全体の攻撃も中央の狭いエリアに偏りがちだ。

 しかし、伊東だけはサイドライン沿いにポジションをとり、縦方向に攻撃の矢印を向けることができる。そのうえ、アクセルをブンとひと踏みするだけで、相手選手を置き去りにできるだけのスピードを備えているのだから、心強い。

 つまり、伊東ならではの武器が、現在の日本代表の攻撃において、重要なアクセントとなっている(アクセントどころか、完全に伊東頼みになることすら珍しくない)わけだが、結果として、彼の代わりを務められる選手は他にいなくなってしまっている。

 そこで、宮市亮である。

 昨夏、横浜F・マリノスに移籍し、Jリーグでのキャリアをスタートさせた宮市は、昨季こそわずか2試合の出場にとどまった。

 だが、今季はリーグ戦を6試合消化した時点で、早くも2試合に先発出場。過去には両膝の靱帯断裂をはじめ、いくつもの大ケガに見舞われ、その都度サッカーができない日々を強いられてきたにもかかわらず、驚異的なスピードは健在だ。4-3-3の右ウイングで起用され、縦への抜群の突破力を見せている。

 かつての宮市と言えば、左サイドでプレーすることが多く、高速ドリブルからのカットインというイメージが強かった。だが、右サイドでプレーする現在は、スピードという素材がむしろシンプルに生かされている印象を受ける。

 アルベルト・ザッケローニ監督時代に日本代表招集経験がある宮市だが、フェイエノールトでの活躍で一躍時の人となっていた頃とは、またひと味違う印象を与えてくれている。

 メンバーに代わり映えがしない日本代表は、おそらく対戦相手にとっては、事前のスカウティングがしやすいチームだろう。それだけに、未知の存在であり、一瞬の加速で突破できる宮市の起用は面白い。試してみる価値はあるのではないだろうか。

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