日本代表に招集してほしい選手。閉塞感を打破してくれそうな旬のJリーガーを選出
この選手を代表に(前編)
いよいよ終盤を迎えたW杯アジア最終予選。日本代表はどんな顔ぶれで大一番を迎えるのか。メンバーの固定化はマンネリを生む。そんな閉塞感を打破してくれそうな存在を、序盤戦のJリーグから、サッカーライターの各氏に選んでもらった。
小池龍太(横浜F・マリノス)
杉山茂樹
代表監督に問われるのは短期的な視点と長期的な視点だ。W杯アジア最終予選、次戦のオーストラリア戦は絶対に負けられない戦いだが、100%全力を注ぎ込むわけにはいかない。森保一監督が本大会ベスト8に目標を定めるならば、8カ月前の現在、どのような要素が不足しているか、対策を逆算して講じる必要がある。
本大会で5試合目まで進んだ時、なお高い戦力を保持できるか。W杯では初の採用となる交代枠5人制は、選手層が厚く選択肢の多い国に優位なルールだ。多機能的な選手の価値は自ずと、通常の何倍も上昇する。監督の交代センスにも影響されるが、交代のバリエーションは、複数のポジションをこなすことができるユーティリティ選手の数と密接に関係する。
今季のJリーグを見渡せば、鈴木優磨(鹿島アントラーズ)と小池龍太(横浜F・マリノス)が際立つ。しかし、鈴木は小池龍より選ばれる可能性が高いと踏むので、今回の推しからは外す。左右のサイドバック(SB)に加え、守備的MFとしてもプレーする小池。そのカバーエリアの広さを訴えたくなる。もともとは右利きの右SBながら、2020年、柏レイソルから横浜FMに移籍すると、右SBのみならず左SBも務めるようになった。
清水エスパルス戦で先制ゴールを決めた小池龍太(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る 右利きの左SB。だが、酒井高徳がそうであるように、左でプレーする小池龍は、レフティかと錯覚するような身のこなしをする。その場に違和感なく丸く収まる。右利きを露わにプレーする現代表のレギュラー、長友佑都とは対照的である。右利きなのか、左利きなのかわからない選手。守備的MFでプレーしてもこの特性は活かされている。右利きであることが一目瞭然となる選手より、進行方向を読まれにくいメリットがある。
SB兼守備的MF。2014年W杯を制したドイツ代表のフィリップ・ラームがそうであったように、23人のメンバーのなかにこのタイプがひとりいると、やりくりはラクになる。真ん中とサイドの違いはあれど、高さ的には同じだ。本来、近しい関係にあるはずだが、日本ではこれまであまり追求されてこなかったコンセプトだ。世界を眺めれば、今日的サッカーか否かを推し量る物差しであるにもかかわらず。
存在が被るのはと中山雄太(ズヴォレ)になるが、小池のほうが、癖が少ない、旬な選手のように見える。
1 / 3