日本代表に招集してほしい選手。閉塞感を打破してくれそうな旬のJリーガーを選出 (3ページ目)
「ポスト長友」の最有力候補
安西幸輝(鹿島アントラーズ)
小宮良之
森保ジャパンにおいて、左サイドバックの長友佑都は絶対的存在ではなくなった。少なくとも、アジア最終予選のプレーは満足できるものではない。深刻なのは、バックアッパーに本職の選手がいない点だろう。
カタールW杯に向け、左サイドバックこそテコ入れが急務のポジションだ。
左サイドバックは、もともと人材に恵まれていたわけではなかった。現在、多くの日本人が欧州でプレーしているにもかかわらず、ひとりもめぼしい選手がいない。欧州では左利きが左サイドバックを担当するのが一般的で、右利き選手が多い日本人はファーストオプションになりにくいのだ。
その点、鹿島アントラーズの安西幸輝は「ポスト長友」の最有力候補だろう。
安西は右利きのサイドバックだが、2019年から2シーズン、ポルトガルのポルティモネンセで定位置を奪い取ってプレーしている。この事実は特筆に値する。同国リーグでは、ボールプレーのうまさだけでポジションは与えられない。サイドに攻撃力のある選手を配置するチームが多いなか、ディフェンダーとして対応できていた証左だ。
安西は攻撃面に持ち味のある選手ではある。右足でのサイドチェンジ、ボールを運び出す技術、長い距離を走れるインテンシティ、連係で崩してからの決定的クロス。どれも質は高い。
しかし、サイドバックとして最大の魅力は周りとの連係力にある。
第3節の柏レイソル戦でも、中盤やセンターバックをうまく使い、マテウス・サヴィオを封じ、守備の先手を取っていた。一方、4-3-3で縦に速いロングボールを多用するチーム戦術で、攻めに厚みを作ることはできなかった。だが、攻撃は一本調子で制限があるなか、味方に選択肢を与えるフリーランニングを何度も重ねつつ、献身的に適応していた。
後半途中、荒木遼太郎が交代出場して4-4-2の形になると、ボールを持てるようになり、安西は敵陣でのプレーが長くなって、クロスや突破で躍動した。荒木との連係のよさは際立っていた。大げさに言えば、その流れが決勝点につながっている。
<チームが求める動きに適応できる>
それは代表でもアドバンテージになるだろう。一昨年10月までは代表に招集されていた。再招集のタイミングを計るべきだ。
(つづく)
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