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パリ五輪の秘密兵器となるか。海外で14試合16ゴールを量産した18歳の日本人ストライカー (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――最初に話を聞いたとき、ヴァッカーというクラブやオーストリアのリーグについて、どんなイメージがありましたか。

「何もなかったです(苦笑)。聞いたことがないクラブだったし、どんなところかも知りませんでした。

 でも、オーストリアはドイツ語圏だし、自分の活躍次第でドイツのブンデスリーガや、ザルツブルクのようなオーストリアの1部リーグにステップアップできる可能性もあるって聞いて、まずはヨーロッパのサッカーに慣れようっていうところから始めました」

――実際に現地でプレーしてみた印象はどうでしたか。

「日本はうしろからしっかり攻撃を組み立てて、無駄なロストはしないで確実につなぐ、っていう感じのサッカーが多いんですけど、こっちはそれが全然なくて、縦に速い。ゴールへの意識が強いっていうか、守備も攻撃の一部として考えているので、攻守の切り替えもすごく速くて、日本とは全然違いました。

 自分が鳥栖でプレーしていた時も、ボールを奪ったら、まずはマイボールにするっていう感覚だったんですけど、こっちはボールを奪ったら、すぐに縦へいく。別にそこで奪われても、また切り替えて奪い返せばいいって感じで、マイボールの時間とかを気にせずにゴールへ向かっていくんです」

――その違いに戸惑ったり、フラストレーションがたまったりすることはありませんか。

「正直、もっと丁寧に味方につないで自分たちのボールにしてくれよ、って思う時もあるんですけど、そんなのお構いなしにどんどん前へいきますね(苦笑)。

 攻守の切り替えが何回もあるんで、体力的にキツい時間もあるんですけど、敵も味方もそういうことをあまり考えない。縦に速くて、チャンスがあれば裏を狙うので、横パスは少ないです」

――適応するのに苦労しましたか。

「鳥栖にいた時も奪われたあとの守備とか、攻守の切り替えはずっとやっていたことなので、確かに攻撃に移った時の意識は少し違いますが、鳥栖にいたから何とかなったっていうところがあったと思います」

――サッカーのレベルという点では、オーストリアの3部リーグはどうですか。

「レベル的には、もちろんJ1とかに比べて低いと思うんですけど、サッカーが全然違うので、得るものも全然違うというか、感じるものが全然違う。いい経験ができているっていうのは感じます。

 それに環境という点でも日本では恵まれていたと、こっちに来てめちゃめちゃ感じています。芝がボコボコだったり、ロッカーも古かったり。鳥栖にいた時には、環境が悪いとか思ったことがなかったですから」

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