2022.01.20

ロシアW杯は直前の監督交代が奏功。あの時、なぜハリル解任を強硬に主張したのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

何かが起こるW杯イヤー(最終回)~2018年
(1)から読む>>

 2018年4月7日、日本サッカー協会はヴァヒド・ハリルホジッチ監督を解任(発表は9日)。技術委員長の職にあった西野朗氏を代表監督に任命した。ロシアW杯の開幕まで2カ月あまり。最終局面で発生した、文字どおりのドタバタ劇だった。

 ところが本大会で西野ジャパンはベスト16に進出する。ベルギーと戦った決勝トーナメント1回戦は、後半なかばまで2-0でリードするまさかの展開になった。日本がW杯でベスト8に最も近づいた瞬間になる。そこからベルギーにひっくり返されたわけだが、逆転弾は後半のロスタイムで、ほぼ最後のワンプレーだった。

 戦いの舞台にちなみ「ロストフの悲劇」と命名されることになったこの敗退劇。悲劇と言うよりは、際どくも惜しい、エンタメ性に溢れた劇的な名勝負と言うべきだろう。西野監督が交代のカードを的確に切っていれば、延長戦にもつれ込んでいたに違いない、大いなる可能性を感じた敗戦とは筆者の見立てだ。

ロシアW杯の本大会2カ月前に就任、日本代表を決勝トーナメントに導いた西野朗前監督ロシアW杯の本大会2カ月前に就任、日本代表を決勝トーナメントに導いた西野朗前監督 この記事に関連する写真を見る  ロシアW杯のこの結末をつい2~3カ月前、解任騒動の最中に予想した人はいただろうか。代表監督のクビを本大会の直前にすげ替えてもベスト16入りが実現したという事実に、サッカーの本質が見え隠れする。むしろ騒動が起きたほうが好結果は出る。1998年フランスW杯以降、6大会連続本大会出場を果たしたその過去を振り返ると、そうした結論を導き出すことに抵抗がなくなる。

 しっかり膿を出して前に進んだほうが結果は出る。そうした確信に基づき、なにかと意見してきた。何を隠そう筆者は、4年前の2018年3月28日のSportivaで、サッカー協会に「ハリルを7日以内に解任を」と、日にちまで指定して解任を迫っていた。「後任は誰でも構わない。西野朗技術委員長でも手倉森誠コーチ(当時)でも、末期的な症状に陥っているハリルホジッチよりはいい」と。協会がハリルホジッチを解任したのは、その"締め切り"から3日遅れにあたる4月7日だったとは、冒頭で述べたとおりだ。

 なぜ、代表監督解任を求めたのか。一番にくるのがサッカーの質だ。