2021.12.20

駒野友一が日本代表ベストゲームに挙げた南アW杯のカメルーン戦。会心の勝利をもたらした闘莉王の言葉

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jinten Sawada/AFLO

日本代表「私のベストゲーム」(4)
駒野友一編(前編)

これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。

 それは、駒野友一にとって、年代別も含めると、4度目の世界大会だった。

 過去に経験した3大会すべてに共通するのは、グループリーグ初戦に敗れていたこと。そして、決勝トーナメントに進出できなかったことである。

 だからこそ、その日の歓喜は駒野の記憶に特別なものとして、すでに10年以上が経過した今もはっきりと刻まれている。

 2010年6月14日、南アフリカ・ブルームフォンテーン。ワールドカップ南アフリカ大会のグループリーグ第1戦で、日本はカメルーンに勝利した。

「僕は(年代別日本代表で)ワールドユース選手権(2001年)やアテネ五輪(2004年)を経験して、いつも初戦を落としていた。そうなると、2戦目、3戦目は追い上げないといけない立場になってしまい、厳しい戦いになる。

 短期決戦では、初戦がすごく大事なのは誰もがわかっていたことですけど、それまでの日本代表の流れという意味でも、(大会前の)親善試合で勝てていなかったなかでの初戦でしたから、その勝ち点3は、すごく大きなものだったと思います」

 4度目の世界挑戦にして、初めて味わう「初戦勝利」。駒野が自身のベストゲームに選ぶ一戦である。

駒野友一が日本代表ベストゲームに選んだ南アフリカW杯のカメルーン戦駒野友一が日本代表ベストゲームに選んだ南アフリカW杯のカメルーン戦 この記事に関連する写真を見る  ワールドカップ本番を目前に控えた日本代表は当時、ドン底状態にあったと言ってもいい。

 壮行試合として行なわれた国内最後の親善試合では、韓国に0-2と完敗。ヨーロッパでの事前キャンプで行なわれた親善試合でも、イングランドに1-2、コートジボワールに0-2と、連敗を喫していた。

「ずっと勝利から遠ざかっていたので、チーム自体も雰囲気が......悪いとまではいかないにしても、モヤモヤしたものはありました。選手も『これで初戦、大丈夫なのか?』って思っている部分があったと思います」

 そんな折、チーム内の空気を変えたのは、選手ミーティングで田中マルクス闘莉王が口にした言葉だった。駒野はそう記憶している。