駒野友一が日本代表ベストゲームに挙げた南アW杯のカメルーン戦。会心の勝利をもたらした闘莉王の言葉 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jinten Sawada/AFLO

「大会前の流れを考えれば、見ているみなさんは、初戦を落とすだろうと思っていたかもしれない(苦笑)。でも、そこで自分たち選手が、もう一回奮起したことが初戦の勝利につながった。見返してやろうっていう、そういう気持ちが勝利につながったと思います」

 大会前に漂っていたモヤモヤした空気も、ひとつの勝利できれいに入れ替わっていた。

「どうしても試合に出る選手、出ない選手がいるわけですが、短期決戦ではチームがひとつになることがすごく重要になる。初戦を勝ったことで、チームみんなで喜んで、そこから2戦目、3戦目と、チームがよりひとつになった気はします」

 勢いづいた日本は、続く第2戦ではオランダに0-1と敗れるも、第3戦でデンマークに3-1と快勝。「初戦を勝ち、選手一人ひとりの気持ちが前向きになったことが、3戦目の勝利につながりました」。

 この勝利で、日本は2大会ぶりとなる決勝トーナメント進出が決定。その瞬間、駒野の脳裏に浮かんでいたのは、4年前の記憶だった。

 駒野は2006年ワールドカップドイツ大会で登録メンバー入りしたものの、出場したのは初戦だけ。しかも、そこでの敗戦のショックを引きずるように、日本は1勝もできずにグループリーグ敗退に終わっていた。

「(ドイツ大会で)初戦に出られたことは、自分にとってもすごくプラスになりましたけど、やっぱり初戦を落としてしまったことで、2戦目は引き分け、3戦目は負けと、いい流れで試合を進めることができなかった。

 その結果、グループリーグ敗退という悔しい大会になってしまったので、もう一回ワールドカップに出場して、今度はグループリーグを突破して、その悔しい気持ちを晴らそうと、それを目標にやってきました」

 雌伏の時を過ごしたからこそ、達成感は格別だった。

「ドイツの借りは返せたのかな、と思います」

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