ザッケローニが選ぶ日本代表のベストイレブン。「真の戦士」と絶賛したのは?

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 電話口に出たアルベルト・ザッケローニは、いつもと変わらず穏やかで丁寧だった。UAEの代表監督を辞した後、彼は故郷の海辺の町チェゼナティコで静かな日々を送っている。

 しかし、私が日本サッカーについて質問をすると、彼の声は急に熱を帯びはじめた。ザックはこれまでいくつものイタリアのトップチームを率い(ボローニャ、ウディネーゼ、トリノ、ラツィオ、ミラン、インテル、ユベントス......)、多くの勝利を手に入れてきた。だが、若きサムライたちを率いた4年の経験は、彼の心の中でも特別な場所を占めているようだ。
 
 そんな彼に、時代を問わず、日本人プレーヤーのベストイレブンを選んでもらった。

2011年、アジア杯に優勝し長谷部誠とトロフィーを手にしたアルベルト・ザッケローニ photo by Fujita Masato2011年、アジア杯に優勝し長谷部誠とトロフィーを手にしたアルベルト・ザッケローニ photo by Fujita Masato――ではGKからいきましょうか。

「もし11人しか選べないなら、その中にGKはいない。残念ながらトップ11に入れるようなGKはいない。優秀なGKはたくさんいたが、絶対的なチャンピオンではなかった」

――アルベルトがそう言うなら、11人をフィールドプレーヤーで選ぶことにしましょう。では一応クラシカルなフォーメーションに沿って、右サイドバックから始めましょう。

内田篤人だね。彼のような選手を持つのは全ての監督にとって喜びだと思う。なぜかわかるかね? 彼の強さは、その確かさにある。サイドバックの仕事を常に確実にこなしてくれる。思いつきでストライカーの真似や、その他のポジションのプレーをしてみて結局失敗するということは皆無だ。そのプレーはレベルが高く、たとえ目をつぶっていても彼がそこにいてくれることがわかる。全幅の信頼を置くことができるんだ」

――では左サイドバックは?

「それはもう長友佑都と言うしかないだろう。まるでエンジンを搭載しているかのような選手だ。疲れを知らず、いつも、いつまでも走り続けくれる。だから彼がいるだけで、相手チームに対して数的優位にたっているような、そんな錯覚に陥るんだ」

――センターバックはどうでしょう?

「今はイタリアのサンプドリアでプレーしている吉田麻也だ。タイミングを読むのがとてもうまく、ポジショニングのセンスがあり、空中戦にも強い。それだけではない。人間的にも彼のような選手がグループの中にいることは非常に重要だ。いつでもチームメイトに手を貸すことができる。

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