2021.07.29

U-24日本代表、大勝より特筆すべきは森保采配。フランスを混乱させ「金」へ弾みがついた

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 前回ロシアW杯の覇者。フランスは世界のサッカー界をリードする盟主だ。しかし、U-24日本代表と戦ったU-24フランス代表に、A代表チームの面影はなかった。片鱗さえ拝むことができなかった。

 スペインやブラジルは、U-24代表チームもA代表と同類のサッカーをする。ひと目でスペイン、ブラジルだとわかるが、フランスはそうではない。その昔、ミシェル・プラティニの時代は、パスワークが売りだった。日本人が好みそうなサッカーをしていた。だが、最近のフランスにスタイルは見えない。身体能力をベースとした個人能力優先のサッカーで世界一に上り詰めた。

 だが、東京五輪にやってきたU-24フランス代表は、その肝心の個人能力がそれほど高くない。気質的にも淡泊だった。「フランス・サッカーって何だっけ?」と呟きながら観戦することになった。失礼ながら、フランスに対して思わずそんなよけいなお世話を焼きたくなるほど、U-24日本代表は快調に得点を重ねた。前半を終えて2-0。フランスに2点差以上で負けない限りベスト8入りが決まる日本にとって、このスコアは3-0あるいは4-0にも値した。

フランス戦にアタッカーとして先発、存在感を見せていた旗手怜央フランス戦にアタッカーとして先発、存在感を見せていた旗手怜央 この記事に関連する写真を見る  森保一監督は勝利を確信したのか、後半の頭から、過去2戦、出ずっぱりだった久保建英をベンチに下げ、三好康児を投入した。2人目の交代は後半10分。前半終了間際、通算2枚目のイエローを提示され、次戦(準々決勝)に出場することができなくなった酒井宏樹と橋岡大樹の交代だ。

 選手交代は、この試合で最大の注目ポイントになっていた。目標を金メダルに据える森保監督。となると、強行日程の中で試合数は6を数える。22人の登録メンバーで、出場時間をいかに分け合うか。その力量が監督には求められている。

 森保監督は初戦(南アフリカ戦)、第2戦(メキシコ戦)と、交代枠5人をフルに使わず、初戦は4人。第2戦は3人で終えた。理想は2試合終了した段階で、合計10人の交代枠を10人使う、いわば使用率「10分の10」だ。しかし、森保監督は「10分の7」にとどまった。3割ロスしていた。チームの総合力を常に満タンに保つためには、ロスは少なくしたい。6戦目まで上り詰め、そこでなお勝利を狙うためには、5戦目を終えて「25分の25」が理想だ。