スペイン人指導者が日本の快勝にも警鐘。「無邪気に攻めてはボールを失っていた」
「南アフリカ戦に続いて、全く違うチームカラー同士の対決で、サッカーの醍醐味が感じられる試合だった」
スペインでレアル・ソシエダの強化担当や育成担当を中心に、さまざまな役職を務めてきたミケル・エチャリは、そう言って、日本がメキシコに2-1と勝利した試合を振り返った。
「日本はソリッドな守備を土台に、攻守のバランスを重んじ、"いい守備がいい攻撃を生む"がコンセプトだった。前線の選手のテクニック、スピードという特性を生かしていた。一方で、メキシコはディフェンスのフィジカルインテンシティが基本だった。固定したポジションをあまり崩さず、縦に速い攻撃に活路を見出し、そこで得たセットプレーを武器に戦っていた」
エチャリはメキシコ戦を細かく解析し、日本に助言を与えた。南アフリカ戦後のアドバイスは金言だっただけに、傾聴に値するはずだ。
メキシコ戦で何度もボールを奪え返し、存在感を見せていた遠藤航この記事に関連する写真を見る「日本は4-2-3-1の布陣を採用。南アフリカ戦から、三好康児を相馬勇紀に代えている。ただ、それ以外はコンセプトもほぼ変わっていない。
立ち上がり、日本は活発というよりも、やや相手に食らいつきすぎていた。各選手の距離感に乱れが出て、相手にアドバンテージを与えてしまった。それがセットプレーを奪われる事態を招いたが、ゾーンとマンマークのミックスでしっかり守り切った。メキシコのハイプレスに対しては、GK谷晃生が長めのボールを前線に入れ、回避していた。
3分、遠藤航が相手のボールを奪い切り、左サイドの相馬にパスを出し、それがCKになった。これで両者の勢いは、ほぼ五分になったと言える。日本も得点を奪えなかったが、ペースを取り戻した。
そして6分、日本のコンビネーションの良さが出た。酒井宏樹の裏を抜くパスに対し、堂安律が反応し、マークを外しながら右サイドの奥深くでボールを受ける。相手の背中を取った時点で勝負あり、だった。堂安が右足で折り返すと、これを走り込んできた久保建英が合わせた。簡単に見えるシュートだが、左足で狙ってインパクトして突き刺している。
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