2021.06.15

上田綺世は超論理型ストライカー。「選択肢に0.2秒で答えを出します」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

――ストライカーとは何か?

 法政大学時代、プロ入りする前の最後のインタビューだった。筆者は、上田綺世(鹿島アントラーズ)にそう投げかけた。

「頼られる存在でなければならないと思っています。そのためには味方を頼れないといけない。お互いが信頼を得て、得られて、ストライカーは成り立つ。一匹狼はダメ。ましてや、僕なんて動き出しが武器なんで、パサーがいないと生きない。ゴールは最後の1割が自分で、組み立ててくれる9割が別にあると思っています。そこで自分の色を発揮し、成功に終わらせるのが役目で......」

 上田は自らのプレーを精密に見つめ、順序だてて説明した。いわゆる論理型のストライカーだ。

「FWというポジションは、単純に点を取るのが仕事で、ミスしてもうまく切り盛りして次に行く。捨てるところは捨てて、拾うところは拾う」

 彼にはストライカーの定理があった。

U-24日本代表としてジャマイカ戦に後半から出場した上田綺世U-24日本代表としてジャマイカ戦に後半から出場した上田綺世 この記事に関連する写真を見る  6月12日、豊田。センターサークルで三笘薫がドリブルでジャマイカのひとりをはがしてボールを運んだ瞬間だった。上田はパスコースを示すように疾走。並走するディフェンダーを置き去りに、パスを呼び込む。無駄にボールに触らず、最短距離でゴール前に侵入し、GKと1対1になった。

「ゴロでコースを狙うか、GKをかわして打つか。(GKが)中途半端な出方だったので、ここはループだろうと」

 試合後に上田は冷静にそう振り返ったが、GKの頭上を抜くシュートの軌道は掛け値なしに美しかった。

「僕はシュートを打つときは、選択肢を消去法で消していきます」

 かつてのインタビューで、上田は淡々と語っていた。

「少し先を見るというか......。例えばですが、背後に出たボールでGKと1対1に近い状況になったら、僕の選択肢はだいたい4つあります。ファーにゴロ、ニア、ループ、そしてGKをかわす。GKを見たとき、瞬間的に『ニアだと当たる』『ループはできない』とか感覚的に"はばばば"って頭の中にある写真映像をはじいて。たぶん、0.2秒とかで答えを出します」